サソリはブラックライトを使って簡単に探すことができる

その独特な見た目もさることながら、毒を持っていることで恐れられているサソリ。日本ではまず見かけることはありませんが、世界各地に広く分布しており、しばしば家屋に侵入することもあります。

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日本にもサソリがいます
八重山列島にはマダラサソリとヤエヤマサソリという2種が存在し、マダラサソリの毒性は弱く、ヤエヤマサソリにはほとんど毒性はありません。

夜行性のため昼間は物陰でじっとしており、夜は暗闇に紛れて活動する…地域によっては、どこに潜んでいるのか恐ろしくなることもあるかもしれません。しかし、実は簡単に見つける方法があります。それはブラックライトを当てること。

▽ブラックライトを使ってサソリを探す

ブラックライトを当てるとサソリは光る

アゴハリサソリ科といった一部の種を除いてほとんどすべてのサソリは紫外線に晒されると蛍光します。

これはサソリの外骨格のヒアリン層と呼ばれる部分にβ-カルボリンなどの数種類の蛍光物質が存在するためで、その一部はアルコールに溶けるため、サソリをアルコールに浸すとそのアルコールも紫外線を当てると蛍光するようになります。

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サソリの脱皮殻も同じように紫外線を当てると光りますが、脱皮したばかりのサソリは光りません。

サソリが光る仕組みは明らかになっていますが、ではなぜサソリは紫外線により光るのでしょうか?

アメリカの生物学者、Carl Kloock氏は飛ぶ虫などがおびき寄せられると仮説を立て、一部のサソリにのみ紫外線を遮断する化学物質を塗布し、新月と満月の夜でそれぞれ捕獲した虫の数を比較しました。

その結果、新月のときには結果に差はありませんでしたが、満月のときには紫外線で光る普通のサソリは捕獲できた虫が少なく、明らかに飛ぶ虫から「避けられて」いました。

どうやら、エサの捕獲という点についてはマイナスになってしまうようです。しかし逆にそれを補って余りあるなんらかのメリットがあるのかもしれません。


Scorpion flickr photo by Shaan Hurley shared under a Creative Commons (BY) license

サソリが光るのは有害な紫外線から身を守るため?

サソリの化石に紫外線をあてても現代のサソリと同じように光ることが確認されているため、どうやら紫外線により光る性質は遥か昔から備わっていたようです。

サソリが登場したのはシルル紀になってからですが、この頃の地球はオゾン層が形成されたばかりで、もしかしたら有害な紫外線を吸収して可視光に変換して放出することで紫外線から身を守っていたのかもしれません。

紫外線にさらされていることを知るため?

サソリに8つの目がついていますが、実はこれらの目を隠してもサソリは光が当たっているかどうかわかります。サソリの尻尾には光を感知するための感覚器が備わっているからです。

こうしてサソリは自らに光が当たっていることを感知し、昼間は物陰に隠れることができますが、紫外線を1か月以上あて続けて蛍光できなくなったサソリでは、たとえ光が当たっていても暗闇にいるときと同じように振る舞い、尻尾の感覚器は機能しませんでした。

つまり、サソリは紫外線にあたると体が光るため、その光を尻尾で検出することによって紫外線に晒されているかどうかを感知している可能性があります。

まるで体全体がアンテナのように働き、体の一部でも紫外線にさらされていればその部分が光って尻尾で感知できるので、これは身を隠すうえでは非常に便利です。


Scorpion In UV Light flickr photo by jkirkhart35 shared under a Creative Commons (BY) license

サソリが光る理由はまだまだ分からないことだらけ

現在でも様々な仮説の検証が行われていますが、私たちが思っているよりも早くその全容が明らかになるかもしれません。
ブラックライトを持ってフィールドに行けばすぐにサンプルをゲットできるので、研究者たちにはとても好評のようです。

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Resource
Why Scorpions Glow in the Dark -Veritasium Youtube channel-

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