一瞬にして大量の粘液を放出することで知られるヌタウナギ。攻撃を受けると、体の側面にある粘液腺から”粘液のもと”が放出され、周囲の海水と混ざりあうことで大量の粘液が生成されます。
瞬時に生成された大量の粘液は噛みついた捕食者のえらに詰まるため、捕食者は即座に食べるのを諦め、粘液を必死に振りほどこうとして逃げていきます。
このように、とても強力な防御手段をもつヌタウナギですが、この粘液がもとである大惨事が引き起こされたことをご存じでしょうか。
ヌタウナギを積んだトラックが交通事故に
2017年7月14日、アメリカのオレゴン州の高速道路で数千匹ものヌタウナギを積んだトラックが事故を起こし地獄のような光景が広がりました。それがこちらです!
Oregon State Police -facebook-
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ヌタウナギは韓国などでは食用としての需要があり、このトラックは韓国に向けて輸送される途中だったそうですが、ドライバーは工事区間を避けようとして急ブレーキを踏み、そのはずみで重さ3.4トン、数千匹ものヌタウナギが粘液とともに道路に投げ出され、一面を覆いつくしました。
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ヌタウナギは大量の粘液を瞬時に作り出せる
ロンドン自然史博物館によるとヌタウナギは重量の3~4%ほどの”粘液のもと”を持っており、この粘液のもとは海中に放出されると瞬時に1万倍の海水を粘液に変える能力があります。
つまり、ヌタウナギは重量のおよそ400倍もの粘液を作り変える能力を持っており、小さじ一杯の”粘液のもと”を放出しただけで小さなバケツ1杯分の粘液を作り出すことができるのです。
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ただでさえ輸送中にすでにぬるぬるであったであろう水槽の水は、事故の衝撃によりすべての水が高濃度の粘液となって道路一面にまき散らされました。
Thanks @OregonDOT pic.twitter.com/SmwHtWLeQ3
— Depoe Bay Fire Dist. (@DepoeBayFire) July 13, 2017
被害はいろんな意味で甚大
この事故では反対車線を走行していた車1台にヌタウナギが入った容器1個が直撃したほか3台の車両が巻き込まれましたが、幸い運転手1人が軽傷を負っただけで事なきを得ました。
現場にはオレゴン州警察のパトカー、ヌタウナギと粘液を掃き出すためのブルドーザーなどの建設機、道路にこびりついた粘液を洗い流すための消防車など、「はたらく車」が総動員し、正午ごろに発生したにも関わらず午後3時半には通行が可能になったのだそう。
Operation eel cleanup with @OregonDOT 2 lanes now open pic.twitter.com/Lj2oIAzsFf
— Depoe Bay Fire Dist. (@DepoeBayFire) July 13, 2017
ヌタウナギの粘液にはムチンも含まれており、高圧の水流だけではなかなか落ちなかったに違いありません…
エピネシスでは最近、自ら事件現場を作り出すムササビについてご紹介していました!
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また、建物の6階から落下するも大きな怪我もなく生還した猫についてもぜひご覧ください!
猫が建物の6階から車の後部ガラスに落下するも、大きな怪我もなく無事に生還する
Reference
No One Is Prepared for Hagfish Slime -The Atlantic-
Hagfishes: how much slime can a slime eel make? -Natural History Museum-