カモノハシに紫外線を照射すると光ることが明らかになる、ノースランド大学

アメリカ・ノースランド大学をはじめとする研究者らは、カモノハシに紫外線を照射すると毛皮が青緑に蛍光することを発見し、学術誌『Mammalia』に10月15日付で発表しました。

カモノハシは言わずと知れた特殊なほ乳類です。オーストラリア東部とタスマニア島に生息する1科1属1種の動物で、アヒルのようなクチバシに水かきのついた足、カワウソのような体を持ち、初めてカモノハシの標本をみた研究者らは偽造標本ではないかと疑いました。
哺乳類であるにもかかわらず卵を産み、後ろ肢には毒針まで備えています。

ほ乳類の生物蛍光はこれまでにオポッサムとモモンガだけ

生物蛍光は魚類や鳥類、両生類やは虫類などに幅広くみられるものですが、ほ乳類では非常に珍しい性質です。これまでに確認されていたのはオポッサムやモモンガの仲間だけで、モモンガの蛍光については2019年にノースランド大学の研究者らが明らかにしたばかりでした。

ノースランド大学の研究者らは、モモンガの蛍光に関する研究の一環でアメリカ・シカゴにあるフィールド自然史博物館を訪れ、検証のついでに他の哺乳類標本にも紫外線照射を行ってみることにしました。すると、なんとカモノハシも紫外線により蛍光することを偶然発見しました。


『Biofluorescence in the platypus (Ornithorhynchus anatinus)』より

一体何のために光るのか?

興味深いのはその役割です。カモノハシは夜行性で水中では目を閉じて泳ぐため、仲間とコミュニケーションを取るための重要な役割を果たしている可能性は低く、さらにオスとメスの個体では蛍光に違いがみられなかったことから、生殖にかかわる性的特徴でもないようです。

研究者らは、紫外線を見ることができる捕食者から隠れるためではないかと推測しています。多くの動物は紫外線を見ることができますが、カモノハシは体表で紫外線を吸収し、かわりに青緑色の可視光として放射することで、うまく擬態しているのかもしれません。カモノハシの捕食者には猛禽類や大型の魚類、イヌ科のディンゴなどが知られています。

また、研究者らはこの蛍光について、産卵するといった原始的な特徴と同様に、単に祖先から受け継いだだけという可能性も検討しており、詳しいことはまだ明らかになっていません。

研究チームは標本、つまり死んだカモノハシでしか蛍光を確認できていませんが、生きているカモノハシで蛍光を確認することによって、何らかの手掛かりを得ることができるかもしれないとコメントしています。

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