日本では決して見られないムナグロのヒナ、コケにそっくりな模様が抜群のかわいさ

地面に巣を作る方法はとっても簡単ですが、逆に天敵は多くなってしまうので、生まれたばかりのか弱いヒナを守るにはなんらかの工夫が必要です。

たとえば地面に巣を作るチドリの仲間では、ヒナが草原や砂地、岩場などの繁殖環境にあわせた保護色を持っているものが多く存在しますが、なかでも特に可愛らしい模様を持っているのがチドリの仲間、ムナグロのひなです!

ムナグロのヒナはコケそっくりの保護色を持つ


Golden Plover Chicks – Masters of Disguise

なんと、ムナグロのヒナはコケそっくりの模様を持っています。
ヒナというのはそもそもが細いふわふわとした毛を持っているものですが、同じようにふわふわとした葉を持っているコケとの相性は抜群で、そのそっくり度は他のどのチドリと比べても圧倒的です。

日本でも春と秋の渡りの時期に旅鳥としてやってくることで知られるムナグロですが、実は繁殖場所は極地のツンドラで、こうした気候では気温が低く地面が凍っているため樹木が育たない一方、夏季には地表部分が溶けてコケ類や地衣類がよく育ちます。

ムナグロは地面を掘った窪みに草やコケなどをしいて巣を作るので、ただでさえ高い擬態能力を持っているヒナを、一面がコケ類や地衣類、草本に覆われた場所から探し出すのは至難の業です。


Golden Plover Chicks – Masters of Disguise

とても可愛らしいうえに完璧に隠れることができるヒナですが、実はヒナだけでなく卵や親も擬態能力は一流。ムナグロの卵や親鳥の模様は、ツンドラの枯れた草や白い地衣類によく溶け込むので、たとえヒナと一緒にいても目立つことはありません。


Golden Plover Chicks – Masters of Disguise

子育ては夫婦共同で、オスが地面を掘ってメスが巣材を集めて並べます。年に1回、1度に1~4個の卵を産卵し、オスとメスが交代で抱卵して子育てし、ヒナは生後すぐに歩けるようになって1か月~1か月半ほどで巣立ちます。




ヒナには触れないようにしましょう

一番最初にご紹介した写真では、撮影のためにヒナを手に持っており、思わず手触りを確かめたくなる気持ちも分かりますが、これは一般にはあまり良くないことです。

人間がヒナに触れるとヒナの体や巣についた匂いによって親鳥が育児放棄をするという話は稀な例外を除いて迷信であることがファクトチェックメディアの「snopes」でも紹介されていますが、とはいえ生きる術を身につけている大切な時期でもありますので、野鳥のヒナをみかけても決して触ったりせず、私たちは親鳥を眺めて楽しむだけにしておきましょう。

以前、エピネシスでは親子でリズミカルにダンスするアメリカヤマシギをご紹介しました!
アメリカヤマシギの可愛らしいノリノリダンス、なぜ踊るのか?

また、ムナグロのように擬態するヒナとは異なり、目立ちやすく非常に恐ろしい見た目を持っているコキンチョウという鳥もいます。こちらの記事の閲覧には十分ご注意ください。
コキンチョウのヒナはなぜこれほどまでに奇妙な模様を持っているのか?(閲覧注意)

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Golden Plover Chicks – Masters of Disguise

この記事へのコメント

孫太郎

擬態能力たかすぎ、苔と並べられたら本当にわからんわ。。。

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