スウェーデン・ルンド大学の研究者らはこのほど、ヨーロッパアマツバメの1日の平均飛行速度が800kmと、研究者らの予測を大きく上回る速度で移動できることが明らかになりました。
ヨーロッパアマツバメ(Apus apus)はアマツバメ目アマツバメ科の渡り鳥で、生涯の大半を飛行して過ごす鳥として知られています。
Falciot #2 flickr photo by pau.artigas shared under a Creative Commons (BY-SA) license
2016年にルンド大学がヨーロッパアマツバメ13羽の背中に重さ1gほどのデータロガーを取り付けて調査したところ、なんと多くの個体は渡りから戻るまでの10か月間で一度も着地することなく飛行し、着地していた個体でも10か月の99.5%を飛行して過ごしていたといいます。
興味深いことに、ヨーロッパアマツバメは飛行中に睡眠をとることができ、明け方と夕暮れに高い位置まで上昇したのち、そこからゆっくりと降下する間に眠っているようです。また、食事についても飛行しながら飛んでいる虫を食べることができるといいます。
1日に800kmも移動できることが明らかに
今回、ルンド大学の研究者らは秋にスウェーデン北部のラップランドからサハラ砂漠の南にある越冬地へと向かうヨーロッパアマツバメ19羽と、春に再びラップランドへと戻る20羽の観測を行いました。
観測の結果、ヨーロッパアマツバメは春と秋でそれぞれ別なルートで飛行していましたが、1日の飛行距離は平均で800kmであることが明らかになりました。
これは東京から北海道の札幌市までの距離にも相当し、研究者らが予測していた1日の平均飛行距離(500km)を大きく上回っていました。
また、なぜ春と秋で異なるルートを飛行するのかについては、ヨーロッパアマツバメが風向きなどの条件を予測していることが示唆されました。どうやら、春になって越冬地から戻る際には追い風となるため、より直進的なルートで飛行しているようです。
去年11月には、オオソリハシシギという鳥が鳥類最長飛行記録を更新したことが発表されましたが、バイオロギング技術の進歩に伴い、こうした渡り鳥の知られざる能力が今後も次々と明らかになるでしょう。

Reference:Wind-assisted sprint migration in northern swifts
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