このほど、渡り鳥として知られるオオソリハシシギが鳥類における最長飛行記録を更新したと発表されました。
オオソリハシシギ(Limosa lapponica)はチドリ目シギ科の渡り鳥で、夏はユーラシア大陸の北部やアラスカ西部などで繁殖し、冬ではオーストラリアやニュージーランドといった南半球で過ごします。日本でも渡りの途中でやってくる旅鳥として、春と秋にみられます。
Bar-tailed Godwit (Juvenile) flickr photo by Becky Matsubara shared under a Creative Commons (BY) license
最長飛行記録を更新したのは2019年にニュージーランドのテムズ湾で捕獲し、衛星タグを装着したオオソリハシシギのオス個体「4BBRW」で、この個体は9月16日にアラスカ南西部から飛び立ち、食事・水分補給・休息を行うことなく11日間、計測上1万2,850kmの距離を飛行して太平洋を渡り、ニュージーランド・オークランドにまで達しました。
この1万2,850kmという距離は、北海道北端の宗谷岬から九州最南端にある佐多岬までの距離にして約3.4往復、地球の直径(約1万2,740km)、月なら1周以上(約1万920km)に相当します。
オオソリハシシギは全長約40cm、体重は通常200~400g程度の小型の鳥で、渡りを行う前には体重を倍に増やし、エネルギーの消耗に備えます。渡りを終えるころには体重は半減し、再び元の体重に戻ります。
一部メディアでは「不眠不休」と紹介されていますが、同じチドリ目シギ科で長距離の渡りをするイソシギで確認されているように、オオソリハシシギも長距離の渡りでは脳の片側だけで眠る「半球睡眠」を行いながら飛行しているものと考えられます。
前回の最長飛行記録を出していたのも実はオオソリハシシギで、2007年にアラスカからニュージーランドまでの1万1,500kmを9日間飛行しました。今後の調査によっては、またオオソリハシシギによって新記録が更新されるかもしれません。
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