JAMSTEC(海洋研究開発機構)の研究者らはこのほど、オンデンザメの遊泳速度を世界ではじめて計測することに成功しました。
これによると、オンデンザメは最も遊泳速度が遅いとされるニシオンデンザメと並んで「世界一泳ぎの遅い魚」であることが明らかになったといいます。
海洋研究開発機構の研究者らは以前より、駿河湾の深海に生息する上位捕食者の研究を行っていました。今年2月には駿河湾の深海域において巨大なセキトリイワシ科の新種「ヨコヅナイワシ」を発見し、報告しています。
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研究者らは2016年、駿河湾の水深約600mに餌付きのカメラシステム「ベイトカメラ」を2台設置し、回収されたベイトカメラに記録された映像を確認しました。その結果、全長約3mに達するメスのオンデンザメが何度も写っていたといいます。
この個体はまず1台目のカメラに写り、次に2台目のカメラに写り、最後にもう一度1台目のカメラに写りました。この2台のカメラの距離は436mで、研究者らがカメラ間を移動した時間から遊泳速度を推定すると平均対地速度と対水速度はそれぞれ秒速21cmと秒速25cmであったといいます。
この遊泳速度は、体重比で最も遊泳速度の遅い魚として知られるニシオンデンザメの秒速22~34cmとほぼ同等であり、オンデンザメもニシオンデンザメと同等に「世界で最も泳ぎが遅い魚類」であることが明らかになりました。
ニシオンデンザメは泳ぎが遅い他にも「最も寿命が長い脊椎動物」として知られており、約400年も生きるといわれていますが、一方でオンデンザメについての調査研究は進んでおらず、今回の研究成果は大きな前進となりそうです。
Resource:オンデンザメの遊泳速度と生息密度を世界で初めて計測―駿河湾の深海に暮らす巨大ザメは世界一泳ぎの遅い魚だった―
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