海洋研究開発機構が駿河湾の深海で新種の巨大魚を発見、「ヨコヅナイワシ」と命名

海洋研究開発機構(JAMSTEC)はこのほど、セキトリイワシ科の新種を発見し、「ヨコヅナイワシ」と名付けました。


Youtube JAMSTEC 海洋研究開発機構 『新種の巨大深海魚「ヨコヅナイワシ」を発見(JAMSTEC)』

近年の異常な海水温上昇や海水の酸性化、低酸素化といった影響は深海にまで及んでいます。

こうした影響はまず大型の上位捕食者に現れ、徐々に下位の捕食者へと広がることから、JAMSTECの研究者らは深海の「上位捕食者」を対象に調査を行ってきました。

研究者らは2016年の2月と11月に駿河湾で神奈川県立海洋科学高等学校の漁業実習船「湘南丸」を用いて、深海の上位捕食者の多様性と食性を明らかにする調査を実施。

このとき、水深2,171~2,572mの深海から、これまでに知られていないような非常に大きなセキトリイワシ科の魚が2月と11月にそれぞれ2個体ずつ、あわせて4個体が発見・採集されました。

この魚の全長は122~138cm、重量は14.8~24.9kgにもなり、セキトリイワシ科の最大標準体長の平均値(約35cm)よりもはるかに巨大でした。


Youtube JAMSTEC 海洋研究開発機構 『新種の巨大深海魚「ヨコヅナイワシ」を発見(JAMSTEC)』

この巨大魚について詳細な外部携帯観察やX線CT解析、分子系統解析などを実施した結果、セキトリイワシ科クログチイワシ属の新種であることが明らかになりました。

研究者らは、この魚がセキトリイワシ科の最大種であることから、相撲における”関取”のなかでも最も階級の高い”横綱”にちなんで「ヨコヅナイワシ」(学名:Narcetes shonanmaruae)と名付けました。

エピネシス・コラムズ
種小名の”shonanmaruae”は、本種を採集する際に用いられた神奈川県立海洋科学高等学校の漁業実習船「湘南丸」に献名したものです。

ヨコヅナイワシの興味深い生態

研究者らはヨコヅナイワシの食性について調べるために胃の内容物解析を実施。
調査した2個体の胃の中には少量の消化物が含まれており、この消化物をDNA解析したところ、深海性アシロ科魚類のオオリンフクメンイタチウオと91%の相同性を示す配列が検出されました。

これまでに知られているセキトリイワシ科魚類の多くはクラゲなどのゼラチン質プランクトンを餌としますが、興味深いことにこのヨコヅナイワシは魚食性である可能性が極めて高いといいます。

食物連鎖の番付はもちろん「横綱級」

さらに研究者らはヨコヅナイワシの栄養段階、すなわち「食物連鎖における位置づけ」を、特定アミノ酸の窒素安定同位体比から解析。

その結果、栄養段階は4.9で、これまで駿河湾深部で解析された生物の中で最も高く、全海洋中でも非常に高いものであることから、このヨコヅナイワシは駿河湾深部における頂点捕食者である可能性が極めて高いことが明らかになりました。

しかしながら、一般には頂点捕食者に近いほど個体数が少ないとされているため、ヨコヅナイワシの個体数はそれほど多くないものと考えられます。

もしかしたら、近年の漁業深度化に伴い、頂点捕食者であるヨコヅナイワシが混獲されるようになり、生態系バランスが崩壊するようなことがあるかもしれません。

研究者らは生態系保全のためにも、頂点捕食者となるヨコヅナイワシの生息域や個体数、寿命といった基本情報を正確に把握することが急務である、と説明しています。

Reference:新種の巨大深海魚「ヨコヅナイワシ」を発見 ~駿河湾深部に潜むアクティブなトップ・プレデター~ -国立研究開発法人海洋研究開発機構-

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