コーヒーに入れる砂糖の悪影響はコーヒーの健康効果で相殺できる可能性

私たちが日常的に飲むコーヒーの健康効果についての研究は、これまで数多く行われており、コーヒーに含まれるクロロゲン酸やカフェインなどの効果により心疾患や脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスク低下、肝臓がんや大腸がんなどの発症リスクを低下させることなどが明らかになっています。

しかし、これまでの研究ではコーヒーに砂糖を入れて飲むかどうかの区別はされていませんでした。

砂糖の摂り過ぎは肥満や糖尿病だけでなく、心疾患や脳卒中、全てのがんの発症リスク上昇に影響する研究が数多く報告されており、コーヒーに砂糖を入れて飲むことにより、せっかくのコーヒーの健康効果が相殺されてしまう可能性もあります。

コーヒーの健康効果を狙うなら砂糖は抜いた方がいい?

中国の南方医科大学のChen Mao氏らの研究チームは2022年、イギリスの大規模な健康情報データベース「UKバイオバンク」を使い、心血管疾患やがんのない17万1,616名を対象に追跡調査を行いました。

対象者にはコーヒーの摂取量と砂糖(人工甘味料を除く)を入れているかどうかについて自己申告に基づいて記録し、2009年から2018年まで追跡して全死亡リスク(がんや心血管疾患などすべてを合わせた死亡リスク)を比較しました。

その結果、この追跡中に3,177名(うちがん死亡が1,725人、心血管疾患死亡が628人)が死亡し、他の要因を排除して解析を行ったところ、コーヒーを飲まない人と比べてコーヒーを飲む人の全死亡リスクは次のようになりました。

1日あたりのコーヒーの摂取量と全死亡リスク(ハザード比)
コーヒーを飲まない人を1とした場合のリスク比

0 ~1.5杯 0.79
1.5~2.5杯 0.84
2.5~3.5杯 0.71
3.5~4.5杯 0.71
4.5杯超 0.77

今回の調査でも、コーヒーを飲む人はコーヒーを飲まない人に比べて全死亡リスクが低下するという結果となりました。
さて、砂糖を入れたときの全死亡リスクはどうだったのでしょうか。

1日あたりの砂糖入りコーヒーの摂取量と全死亡リスク(ハザード比)
コーヒーを飲まない人を1とした場合のリスク比

0 ~1.5杯 0.91
1.5~2.5杯 0.69
2.5~3.5杯 0.72
3.5~4.5杯 0.79
4.5杯超 1.05

4.5杯超を除き、全体的にコーヒーを飲まない人に比べて死亡リスクが低いようにみえますが、統計的に有意に全死亡リスクが低かったのは「1.5~2.5杯」と「2.5~3.5杯」だけであったので注意が必要です。

意外にも「1.5杯~2.5杯」の人では、あくまで数値上ではむしろ砂糖を入れている人の方が全死亡リスクが低くなっていました。

今回の研究成果については、少なくとも「1日に4杯程度なら砂糖を入れてもコーヒーの健康効果が損なわれることはない」こと、そして砂糖入りコーヒーを1日あたり多く飲んでいるほど全死亡リスクが徐々に上昇していることから、やはり「砂糖の摂取量は少ない方が良い」ということが言えそうです。

たまに砂糖入りコーヒーを飲むくらいなら健康効果は損なわれない

どうやらある程度はコーヒーの健康効果により砂糖の悪影響を相殺してくれるようなので、それほどストイックに無糖を飲み続ける必要はなさそうです。

本当は甘いもの好きなのに無糖を飲み続けているひとは、たまには砂糖を入れて飲んでも良いかもしれません。もちろん、ほどほどに。

この研究成果はアメリカの医学学術誌『Annals of Internal Medicine』に2022年5月31日付で掲載されています。

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Reference
コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について -国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト-
Association of Sugar-Sweetened, Artificially Sweetened, and Unsweetened Coffee Consumption With All-Cause and Cause-Specific Mortality -Annals of Internal Medicine-

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名無しさん

知らなかった!コーヒーを毎日飲もう

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