燃える大地に生きるオーストラリアの植物たち


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隔絶された大陸、オーストラリアでは他の大陸では見られない特徴を持った様々な動植物が生息している。広大な自然と大地は生物に豊かな恵みを与える一方で、極端な気候や自然災害が多くの命を奪うこともある。特に国土の大半を占める乾燥地帯では頻繁に自然発火による山火事が発生し、森林一帯は炎で焼き尽くされる。しかし、太古の昔から繰り返されてきた厳しい自然の営みは植物たちに驚くべき変化をもたらしていた。燃える大地に生きる、オーストラリアの植物たちとは?

国土の森林の4分の3を占めるユーカリの森林は遠くから見ると澄んだ美しい青色に見える。これはユーカリの葉が空気中に放出したテルペンによるもので、気温が高くなる夏期にユーカリは大量のテルペンを放出する。このテルペンは引火性で、大気中のテルペン濃度が非常に高くなると山火事が発生しやすくなるのだ。ユーカリは火災に対するいくつかの防御機構を有しており、葉が燃えてもつぼみからすぐに新しい芽を出すことができる。ユーカリは種の繁栄のために、他の植物が生き残れないような山火事という過酷な災害をあえて引き起こすことを選んだ植物なのだ。(参考記事:山火事を利用するオーストラリアの「ユーカリ」)

実は、山火事を利用する植物はここオーストラリアでは決して珍しいものではない。ユーカリをはじめ、オーストラリアの乾燥地域に生息する多く植物は山火事によって種子の発芽が促進される。特に山火事による高温を利用して発芽が促進されるものは古くから知られていたが、1990年頃には煙にさらされるだけで発芽が促進される煙誘導発芽が報告されるようになり、現在では数百種もの煙発芽植物が確認されている。


Grass Trees, Xanthorrhoea flickr photo by amandabhslater shared under a Creative Commons (BY-SA) license
オーストラリア固有種のクサントロエア(別名:グラスツリー)は山火事に遭わなければ花を咲かせない。成長は非常に遅いものの太い幹は抜群の耐火性を誇り、幹が燃えて真っ黒になっても育ち続ける。


Banksia marginata ? seed pod flickr photo by brewbooks shared under a Creative Commons (BY-SA) license

ヤマモガシ科に属するバンクシアという植物は袋果(たいか)とよばれる二枚貝状の構造の中に種子が入っており、通常は乾燥することによってこの袋果が開いて種子がまき散らされるが、バンクシアの一部には山火事によって火に炙られ、黒く焦げなければ開かないほど強固な袋果を持つ種類も存在する。辺り一面が焼き払われたなかでいち早く次の命をつなぎ、競合する他の植物が少ない環境でのびのびと育つことができるのだ。(参考記事:燃えることで種子をばら播く「バンクシア」とは?)

山火事という生物にとって壊滅的な被害をもたらす自然災害をも利用する、驚くべきオーストラリアの植物。全てが焼き尽くされ、荒野となった大地に植物たちは静かに、そして力強く、新しい命を育んでいく。