まるで破壊光線、世界で最も鳴き声の大きい鳥「スズドリ」とは?

2019年12月19日

スズドリ
credit:SciNews「White bellbirds produce loudest bird call ever recorded

今年10月、アマゾンの熱帯雨林に生息する鳥が「世界で最も鳴き声が大きい鳥」として認定された。
スズドリ、英語では”white bellbird”と呼ばれているが、その鳴き声は「鈴を転がすような声」とは程遠い。雄は白鳥のように美しい白色で、体重約250gという小柄ながらも、雌を引き付けるために発するその声はまるで、破壊光線、あるいはレーザービームでも発しているかのような”機械音”にも聞こえる。

スズドリ(学名:Procnias albus)はハトほどの大きさの鳥だ。ブラジル北部の熱帯雨林に生息しており、雄と雌とで特徴が大きく異なる。雄はミミズのようなものをクチバシでくわえているように見えるが、これはニワトリなどにもみられる肉垂(にくすい)で、雌に対して健康で強い個体であることをアピールする役割がある。
一方で、雌は緑がかった色をしており、肉垂もない。姿だけみると全く違う種類の鳥にすら思えるが、それでもやはり、雄との最も大きな違いは”全く鳴かない”ということだろう。

アメリカのマサチューセッツ大学アマースト校とブラジル国立アマゾン研究所の研究者らは、オスのスズドリの標本を詳しく調べるなかで、分厚くて輪郭のはっきりした腹筋に肋骨が埋もれているという特殊な構造を見い出した。
これまでにスズドリと、その鳴き声に関する論文はまだ誰も発表しておらず、研究者らはこの特殊な構造がスズドリの大きな鳴き声にどう関係があるのかを調べることにした。

スズドリ
Hector Bottai [CC BY-SA 4.0], via Wiki Commons

合同研究チームはアマゾンの熱帯雨林で、幸運にも雄と雌が同じ木にいる場面に遭遇し、観察と録音を試みた。雄は初めに、まるで演劇のように、大げさに振り返りながら最初の鳴き声をあげた。続けて、今度は雌に向かってしっかりと鳴き声をあげた。しかし、雌はその求愛を受け入れなかったようで、雄から数mの距離を取ったという。

興味深いことに、経験豊富な雌のスズドリは雄の求愛からではなく、雄が発する大きな鳴き声を避けるために、しばしば飛んで逃げることがあるのだという。少なくとも研究チームらは、求愛に成功したスズドリを観察することはできなかった。
そのあまりにも大きな音は、近くで聞いている雌の聴覚に何らかの悪影響を及ぼしているのではないかと研究者らは考えているが、今回の研究からは明らかにすることはできなかったという。

研究者チームは、これまで世界で最も大きな鳴き声を持つといわれていた、同じアマゾンに生息するムジカザリドリの鳴き声も録音した。しかし、録音データを解析すると、なんとムジカザリドリよりもスズドリの鳴き声の方が大きいことが明らかになったという。

その音の強さは何と最大125dB(デシベル)。これは自動車のクラクションを上回り、落雷の音にも匹敵する。ほぼすべての人が耳に痛みを感じ、聴覚機能にも異常をきたすほどの大音量だ。今回の研究で、スズドリはムジカザリドリよりも約10dB以上も高いことが明らかになり、かくして世界で最も大きな鳴き声を持つ鳥は、このスズドリであることが証明されたのだ。

また、今回の研究によって鳴き声(音圧)が大きいほど、鳴く時間が短くなるという関係性も明らかになった。このようなトレード・オフの関係は、単純に私たちが大声を出そうとすると呼吸が長続きせず、小声なら長く続くというような呼吸器能力の限界によるものと研究チームは仮説を立てているが、当初の疑問であったスズドリの特殊な体の構造と、大きな鳴き声との関連性を明らかにすることはできなかった。

求愛のために発する大きな鳴き声によって、逆に雌を遠ざけるようでは本末転倒だ。これは私たち人間にとっても、良い教訓話になるかもしれない――

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