尻尾を絡ませて眠るサル、ティティモンキーの夫婦が理想的すぎる

人間社会は一夫一妻制ですが、これは哺乳類全体ではかなり少数派であり、さらにヒトでは必ずしもパートナーに対して誠実であるとは限りません。浮気をする人の割合は、日本では全体のうち2~3割いるといわれています。

しかし、アマゾン川流域には厳密な一夫一妻制を守り、夫婦間で深い絆を結んで生涯を共にするサルが生息しています。


TITI MONKEY -SMITHSONIAN’S NATIONAL ZOO & CONSERVATION BIOLOGY INSTITUTE-

ティティモンキー(Titi Monkey)

ティティモンキーはアマゾン川流域の熱帯雨林に生息するサキ科のCheracebusCallicebusPlecturocebusの3属の総称で30種以上が知られています。
体重は1kgほどで、体長は種によって異なりますが20~45cm程度。尾の長さは、この体長よりも一回り長くなっています。

長めの柔らかい毛を持ち、まん丸で、それぞれのパーツが小さいのでとても可愛らしい見た目をしています。このティティモンキーはおもに果実を食べて生活していますが、葉や種子、昆虫なども食べます。

エピネシス・コラムズ
ティティモンキーは葉っぱを噛んでから、それを胸にこすりつける行動がみられることがありますが、その理由はわかっていません。

浮気をしない理想のイクメン

このティティモンキーの最も大きな特徴は、なんといっても厳格な一夫一妻制を守ること。一生のあいだパートナーを変えずに、生涯同じ相手と生活して子どもを作り続けます。

ティティモンキーはこの夫婦と、生まれた時期の異なる子どもたちからなるグループで暮らしており、グループ内では頻繁にグルーミング(毛づくろい)を行って、絆を深め合う行動が観察されます。


Titi monkey father and infant -UCDAVIS-

子どもの世話は基本的にお父さんの仕事で、母親よりもよく子どもと遊んだり、毛づくろいしたり、食べ物を分け合う行動がみられます。生まれて数か月はお父さんの背中に乗って過ごし、授乳の際には母親のところまでお父さんが連れて行きます。

寝る時は家族で尻尾を絡めて眠る

ティティモンキーの尻尾は、サルによくみられる枝を掴んだりするような補助的な機能は持っていませんが、そのかわりに休んだり眠るときは尻尾を絡ませて眠ることが知られています。

この尻尾を絡ませる「テイルトワイニング(tail twining)」と呼ばれる行動はグループ内の親子や、とりわけ夫婦間でよくみられ、眠るときや休んでいる時以外にも喜びを共有するとき、ストレスがかかったときにもみられるため、人間のハグに似た意味を持っているようです。


TITI MONKEY -SMITHSONIAN’S NATIONAL ZOO & CONSERVATION BIOLOGY INSTITUTE-

浮気をせず、父親が積極的に子育てに参加し、頻繁に毛づくろいや尻尾を絡ませて絆を深める――ティティモンキーは現代社会で必要とされる夫婦像を体現しているようです。

Reference
TITI MONKEY -SMITHSONIAN’S NATIONAL ZOO & CONSERVATION BIOLOGY INSTITUTE-
Creature Feature: Titi monkeys -THE ETHOGRAM-

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