たった1つの標本しか残っていなかった植物、コウベタヌキノショクダイを30年ぶりに発見

兵庫県三田市で、絶滅したと思われていた植物「コウベタヌキノショクダイ」を神戸大学の研究チームが発見し、はじめて自生している姿が確認されました。

この研究成果は2月28日に「phytotaxa」にてオンライン掲載されています。

珍しく美しいタヌキノショクダイ

コウベタヌキノショクダイはタヌキノショクダイ科の一種で、まるでキノコのような見た目をしていますが、長芋などのヤマノイモなどに近縁であることが分かっています。

光合成をせずに土の中の菌類から栄養を奪うという非常に珍しい性質を持っており、わずかな開花期間のみに見られるガラス細工のような美しい花を咲かせることから、海外では「Fairy lantarn(妖精のランプ)」と呼ばれています。

また、これまで世界ではタヌキノショクダイは90種が知られていますが、興味深いことに、そのうち半数以上は最初の発見場所以外からは見つかっていません。

発見時にはすでに絶滅していたコウベタヌキノショクダイ

日本で確認されているタヌキノショクダイ属はタヌキノショクダイ、キリシマタヌキノショクダイ、そしてコウベタヌキノショクダイの3種のみです。

このうちコウベタヌキノショクダイは、1992年に「ヒナノボンボリ」として同定され、兵庫県立人と自然の博物館に収蔵されていたものを同研究チームが2018年に新種として再発見したもので、オレンジ色であることはわかるものの花の一部が欠けており、26年前の標本であったため自生している様子などはよくわかっていませんでした。

この個体が1992年に採集されて以降、1999年には自生地が団地建設のために消滅しており、2010年には当初同定されていたヒナノボンボリとしての扱いで兵庫県のレッドリストから絶滅が宣言されていました。

30年ぶりにはじめて自生している個体を発見

今回、神戸大学大学院理学研究科の研究チームは消滅してしまった最初のコウベタヌキノショクダイの発見地から約30km離れた地点にある三田市の森林で研究チームに所属していた学生が偶然にも発見。


“Rediscovery of the presumably extinct fairy lantern Thismia kobensis (Thismiaceae) in Hyogo Prefecture, Japan, with discussions on its taxonomy, evolutionary history, and conservation” -Phytotaxa-


“Rediscovery of the presumably extinct fairy lantern Thismia kobensis (Thismiaceae) in Hyogo Prefecture, Japan, with discussions on its taxonomy, evolutionary history, and conservation” -Phytotaxa-

茎の高さはわずか1mmほど、花の大きさも1cmにも満たない大きさでしたが、はじめて自生している様子が確認されたことや他の種との差をようやく比較できるようになったため、タヌキノショクダイ科全体でのさらなる発見が期待できそうです。

▽論文特筆者、末次健司さんの2018年9月のツイート

▽論文特筆者、末次健司さんの2023年2月のツイート

自生地が消滅していたため2度と発見されない可能性もあったわけですから、まさか5年後に発見されるとは思っていなかったのではないでしょうか。

ましてや、これほど美しい植物なのですから発見時の驚きも一入だったに違いありません。

Reference
絶滅種の光合成をやめた植物を30年ぶりに再発見 ―妖精のランプ「タヌキノショクダイ」の謎に包まれた進化史に重要な示唆― 神戸大学
“Rediscovery of the presumably extinct fairy lantern Thismia kobensis (Thismiaceae) in Hyogo Prefecture, Japan, with discussions on its taxonomy, evolutionary history, and conservation” -Phytotaxa-
博物館の植物標本から新種を発見するも既に絶滅 「コウベタヌキノショクダイ」と命名
“ Thismia kobensis (Burmanniaceae), a new and presumably extinct species from Hyogo Prefecture, Japan” -Phytotaxa-

コメントを投稿する