「ヘビに睨まれたカエル」、恐怖で動けないのではなく最良の戦術

「ヘビに睨まれたカエル」、恐怖で動けないのではなく最良の戦術
Bullfrog and Garter snake standoff flickr photo by Michele Dorsey Walfred shared under a Creative Commons (BY) license

「蛇に睨まれた蛙」という言葉がある。恐怖で身がすくみ、立ち尽くしている様を表現した言葉だ。実際に、ヘビとカエルが対峙すると、どちらも動かずにじっと構えていることが多い。

一見すると、カエルにとっては急いで逃げた方が生存に有利であり、ヘビにとってはいち早くカエルを捕えようとする方が捕食に有利であるように思われる。しかし今年3月に京都大学が発表した研究によると、これは両者にとって最良な戦術であるようだ。

研究者らは、シマヘビとトノサマガエルを使い、実際に対面させてその様子を撮影して詳しく観察した。
トノサマガエルは、ジャンプすれば着地まで空中で放物線を描きながら移動する。いったん飛んでしまえば、途中で進路を変更することはできないのだ。もし先手を取ってジャンプした場合、ヘビはすかさず飛び掛かり、柔軟な体を駆使してカエルの動きに合わせて捕らえることができるだろう。

一方で、先手が不利なのはヘビも同じだ。ヘビはバネのように、体をあらかじめ曲げておかなければカエルに飛び掛かることはできない。言い換えれば、一度飛び掛かって体が真っすぐな状態になってしまえば、また曲げるまで移動することはできないのだ。もし先手を取って飛び掛かかれば、カエルに動きを読まれて避けられ、体をまた曲げるまでに逃げられる可能性があるのだ。

ヘビとカエルが対峙したときのあの膠着状態は、カエルにとってもヘビにとっても、先手を取ると不利になってしまうため、お互いが後手を選択した結果として起きるという。

実験を記録したビデオ▽

こちらの動画では、まず最初にヘビが先手を取った場合の映像が流れる。ヘビが先手を取って飛び掛かる瞬間にカエルがジャンプして避けている。ヘビの動きが一瞬止まってしまうのは、体が真っすぐになり、次に曲げるまでに時間がかかるためだ。

動画の最後には、カエルが先手を取ったパターンの映像が流れる。逃げ場のないカエルは、ヘビの後ろに飛んで逃げようとするも、ヘビは柔軟に体を曲げてカエルを追撃し、捕らえることに成功した。

カエルはただ怯えて動けなくなってしまっているのではなく、ヘビが無策に飛び掛かってくるのを待っているのだ――「ヘビに睨まれたカエル」の意味は、どうやら改めなければならないようだ。