ユキヒョウは中央アジアの山岳地帯に生息するヒョウ属のネコ科動物で、名前にヒョウとついていますが実はヒョウよりもトラに近い動物です。
ヒョウよりも一回り小さく、一見するとちょっと小さな灰色のヒョウという感じですが、その体は標高の高い山岳地帯や寒冷地に適した体のつくりになっており、寒さから身を守るための分厚い体毛や、スノーブーツのように幅が広く雪に沈みにくい足、獲物に見つかりにくい岩模様など、生きるための術が備わっています。
そして、ユキヒョウにおいて最も特筆すべき部分が、この太くて長い、ふわふわとした大きな尻尾です。
体の大きさほどもある、ユキヒョウの太くて長い大きな尻尾
その長さは1m弱ほどもあり、体長の3/4にも匹敵します。
大きくてとても邪魔そうに見えますが、この長い尻尾はユキヒョウにとって大切なもので、山岳地帯の険しい斜面で体のバランスを保つために大いに役立っています。
▽大きな尻尾でバランスを取りながら断崖を猛スピードで駆け降り、獲物を追いかけるユキヒョウをぜひご覧ください!
自分の尻尾が大好きなユキヒョウ
しかし、長い尻尾はそれだけのためではありません。ユキヒョウが生息する場所は標高が高くとても寒い場所で、全身が分厚い毛皮に覆われているものの、毛のない鼻先だけはどうしても寒さに対して無防備です。
そこでユキヒョウは休むときにしばしば、この長い尻尾を顔にまで持っていき、抱きかかえながら顔まわりにあてて鼻先を温めるのです。
この太く長い尻尾は脂肪を蓄える貯蔵庫の役割も果たしているため、抱き心地はきっと抜群でしょう。
尻尾を口にくわえることも
また、ユキヒョウはただ尻尾を抱くだけでなく、口にくわえる行動がしばしばみられることがあります。
この行動については、口周りを温めるためや、ストレスによるものなど、さまざまな理由が考えられています。
確かに、飼い猫などでもストレスがかかる環境下では尻尾を噛むことがあり、しばしば噛み過ぎて怪我をしてしまうこともありますが、ユキヒョウでは多くの場合、ただ口に尻尾をくわえるのみです。
結局のところ、この尻尾をくわえる行動は単純に退屈しのぎや遊び、リラックスを目的として行われているようで、ユキヒョウの赤ちゃんもしばしば母親の尻尾を使ってくわえたり、遊んだりします。
ユキヒョウ一匹一匹が持つ、自分専用抱き枕。こんな素敵な尻尾を持っていながら、遊ばない方がむしろ難しいかもしれません。
Reference
Why snow leopards bite their tails, and other facts about this gorgeous high-altitude cat -RUSSIA BEYOND-
Snow leopard -NATIONAL GEOGRAPHIC-