ほとんどの猫は子どもから大人になるにつれて多少は模様が変わるものですが、シャム猫ほど劇的に変化するものはそういません。そこがシャム猫の魅力の一つですが、なぜここまで模様が変化してしまうのでしょうか?
実は、シャム猫の白と黒の模様は温度によって決まっています。シャム猫は色を作り出す体の仕組みに変異があるため、温まりやすいところは白いままで、冷えやすいところは黒っぽく変化するようにできているのです。
シャム猫の子猫はまっしろ
シャム猫は生まれてすぐはお母さん猫の温かいお腹のなかにいたためほとんど白い毛で生まれてきますが、成長するにつれだんだん顔や耳先、足や尻尾など「冷えやすい」部分が黒くなっていきます。
つまり、あの模様は猫の冷えやすいところを可視化したサーモグラフィーのようになっているというわけです。子猫からの変化は特に劇的なので、これから飼い始める予定の人や飼っている人はぜひ成長記録を残しておきましょう。
シャム猫ではメラニン色素という黒い色素を作るために必要なチロシナーゼという酵素に関わる遺伝子に変異が起きており、温度が低い部分ほど酵素活性が高まり、活発にメラニン色素が作られるため結果として黒くなります。
毛の色は子猫から大人になってからも変わり続ける
この模様は温度に合わせて絶えず変化し続けるため、季節や地域によっても多少変わっており、寒い季節や地域では毛の色が全体的に暗くなりやすく、暖かい季節や地域では毛皮の色が薄くなりやすくなります。
毛の色に影響を与える要因としては他にも、栄養不足や病気による発熱などもあるため、食欲がない、呼吸がおかしいなどの他の気になる症状があれば病院へ連れて行きましょう。
黒い模様を増やしたい、これ以上増やしたくないからといって、むやみに温めたり冷やすといった温度管理を徹底する必要はありません。
これは他の動物にも言えることですが、特にシャム猫の模様は、これまであなたと歩んできた生活により作られた世界にただ一つだけの模様です。別な飼い主と暮らしていれば今とはまったく模様になっていたかも…