ウマやロバは砂を掘り返して「井戸」を作ることが明らかに――デンマーク・オーフス大学

井戸を掘って地下水を利用するのは何も人間だけではないようです。デンマーク・オーフス大学の研究者らはこのほど、野生のロバやウマが井戸を掘って地下水を利用することを明らかにしました。

研究チームはアリゾナ州にあるソノラ砂漠とカリフォルニア州にあるモハーベ砂漠のうち、季節によって川が流れるような地点計5か所に自動撮影カメラを設置し、3年にも渡って訪れる動物たちの様子を観察しました。

その結果、ロバは4か所、ウマは1か所に足しげく通い、前脚を器用に使って乾いた川床に1m~2mもの穴を掘って地下水を利用していたといいます。

また、この掘った井戸はどうやら他の動物も利用しているらしく、タカやフクロウなどの大型猛禽類やアメリカカケスなどの小鳥、ミュールジカやアナグマなどの哺乳類や、さらにはヒキガエルなど57種の動物が水を飲みに訪れたといいます。

▽ロバが掘った井戸を動物たちが利用する様子。

研究者らが井戸のない場所と比較して調査したところ、井戸のある場所では64%も多くの種が確認され、動物たちがロバやウマが掘った井戸を意図的に利用していることが明らかになったといいます。

さらに一部の井戸には樹木の発芽が確認され、植林にも貢献している可能性が示されました。

ウマやロバは厳密には在来動物ではないため、生態系のうえでは過小評価されがちであるといいますが、研究者らは今回の発見をきっかけに野生で暮らしているウマやロバの見方が変わるのではないかと説明しています。

Reference:Wild horses and donkeys dig wells in the desert, providing water for wildlife

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