石川県白山市にある石川県ふれあい昆虫館は今月18日、IUCNのレッドリストで絶滅危惧種に指定されているオウサマゲンゴロウを累代飼育することに国内で初めて成功したと発表しました。
オウサマゲンゴロウモドキ(Dytiscus latissimus)はヨーロッパに分布するゲンゴロウ科ゲンゴロウモドキ属の昆虫で、ゲンゴロウの仲間では最大種です。
このオウサマゲンゴロウモドキは、絶滅のおそれのあるの国際取引に関する条約であワシントン条約には選定されていませんが、ヨーロッパの野生生物保護に関する条約であるベルン条約の保護動物リストに選定されており、生息する国では採取が禁止されています。
しかし、ラトビア共和国のラトガル動物園の協力によりラトビア政府の許可を得て、2019年に石川ふれあい昆虫館を含む日本の3か所の施設に合計30匹が輸入されました。
オウサマゲンゴロウモドキの卵から幼虫の体が透けています。もうすぐ孵化しそうで担当職員は毎日ドキドキしています。卵の時点でこの大きさですから、いったいどれくらい巨大な幼虫が孵化するのでしょうか。そして検証するための餌を食べてくれるのでしょうか。今後にご期待ください!(4.14撮影) pic.twitter.com/uh1TdY8W15
— 石川県ふれあい昆虫館 (@FurekonOfficial) April 15, 2020
オウサマゲンゴロウモドキの幼虫が孵化しました!孵化していきなり約2cm!!大きすぎます!
とりあえずはエサを食べてくれて一安心です。成虫まで育てることを目指しながら代替餌の発見に努めたいと思います。
ここからが腕の見せ所です!ワクワクします! pic.twitter.com/2Z6jsJhEPK— 石川県ふれあい昆虫館 (@FurekonOfficial) April 19, 2020
石川県ふれあい昆虫館では8匹が輸入され、翌年の2020年には繁殖させることに成功しました。オウサマゲンゴロウモドキはトビケラの仲間を好むという特異な食性があり、同館の去年のツイートでは代替餌の模索にかなり苦労している様子がうかがえます。
オウサマゲンゴロウモドキの1齢幼虫のお食事シーン!トビケラの仲間の幼虫を巣から引きずり出し、上手に捕食します。飼育担当が「絶対に食う!」と予想していた餌はことごとく敗退。「本当にトビケラしか食わねえ…」と歯を食いしばっております。トビケラしか食べなくても成虫にしてみせます! pic.twitter.com/dKUleFulcR
— 石川県ふれあい昆虫館 (@FurekonOfficial) April 21, 2020
そして今月15日、去年繁殖させた個体から生まれたメス1匹が羽化して成虫となり、二世代に渡る累代飼育に国内で初めて成功しました。
オウサマゲンゴロウモドキの新成虫が5月15日に羽化しました!累代飼育が成功し、大変嬉しく感じております!
第一陣は20頭の上陸を目標として18頭上陸となりましたので、17頭のサナギが控えています。これからふ化した幼虫には新たな餌を与え、代替餌の研究に繋げたいと思います。 pic.twitter.com/dHDOpq9DgY— 石川県ふれあい昆虫館 (@FurekonOfficial) May 18, 2021
石川県ふれあい昆虫館はTwitterで、他に17匹がさなぎの状態であることを明らかにしており、今後もトビケラに代わるエサの研究に繋げたいとコメントしています。