水深1,127mの深海で回収された空き缶から日本では未発見のクラゲが見つかる――北里大学

北里大学 海洋生命科学部の研究者らは、水深1,127mの深海で回収された空き缶から、これまで日本では発見されたことのないナデシコクラゲのポリプを発見し、育成させることに成功しました。

研究チームは東日本大震災から1年経過した2012年3月に、震災による流出物と生物との関係を調査する一環で、岩手県山田町沖で無人探査機「かいこう700II」で探査を行い、水深1,127で発見された空き缶を回収しました。


水深1,127mの深海で発見されたビールの空き缶。賞味期限は1984年5月であったといいます。
北里大学のプレスリリースより

研究者らはこの缶にどのような生物が付着しているのかを調べるために、空き缶を水槽に入れてエサとなるプランクトンを与え続けました。

その結果、空き缶に付着していたポリプが増殖し、やがてクラゲに成長したといいます。


北里大学のプレスリリースより

研究者らがこのクラゲを遺伝子解析で詳しく調べた結果、日本では見つかっていないイアレリア・パープレア(Earleria purpurea)というクラゲであることが明らかになりました。


傘の直径は2cmほど。
北里大学のプレスリリースより

残念ながら私たちの生活から出たゴミは深海にまで到達し、生態系にも大きな影響を与えているようですが、今回のようにゴミを回収することで知られざる深海生物の生態系を理解することにもつながりそうです。

この「ナデシコクラゲ」は現在、神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館や山形県の鶴岡市立にて一般公開されています。

エピネシス・コラムズ
ポリプは私たちがよく知るクラゲの形になる前の状態で、イソギンチャクのような形をしています。大きさは数mmほどしかないため自然界では発見することは非常に困難です。

コメントを投稿する