ほとんどの犬は訓練なしには物の名前を覚えることはできませんが、一部の高い知能を持つ犬では飼い主との遊びのなかで言葉を理解して習得できることをエドヴィシュ・ローランド大学が明らかにしました。
ハンガリーのエドヴィシュ・ローランド大学は、犬がどのようにして私たち人類の生活に適応してきたのかを探る「ファミリードッグ・プロジェクト」を通して、犬のさまざまな能力を調べています。
前回の研究では、犬が私たちの言葉をどの程度まで理解しているのかを明らかにしました。
参考記事:犬は私たちの言葉をどの程度理解しているのか?――エトヴェシュ・ロラーンド大学
犬は私たちの言葉をどの程度理解しているのか?――エトヴェシュ・ロラーンド大学
研究者らは今回、非常に高い知能を持つことで知られているボーダーコリーとヨークシャーテリアの2匹を対象に、犬の優れた言語習得能力について検証を行いました。
まず研究者らが行ったのは、飼い主との遊びのなかで新しいおもちゃの名前を覚えてもらうというものです。
すでに名前を知っている7つのおもちゃに新しいおもちゃを1つ加え、飼い主との遊びの中で新しいおもちゃの名前を4回聞かせて、名前を覚えられるかどうか検証しました。
その結果、ボーダーコリーとヨークシャーテリアはいずれも新しいおもちゃの名前を聞いたときに、そのおもちゃを正しく選ぶことができました。論文の著者によると、犬のこうした迅速な学習能力は2~3歳前後の人間の子供が言葉を習得する仕方に似ているといいます。
さらに研究者らは、すでに名前を覚えている7つのおもちゃのなかに新しいおもちゃを加え、そのおもちゃの名前を聞いたときに犬がそれを正しく選ぶことができるかどうかを確かめました。
検証の結果、いずれの犬も「新しいおもちゃの名前を知らない」にも関わらず、新しいおもちゃを正しく選ぶことができました。
これは新しいおもちゃの名前を聞いたときに、いくつものおもちゃの中から既に知っているおもちゃを除外して、正しく判断できたことを意味しています。
しかしながら、新しいおもちゃの名前を覚えたというわけではなく、新しいおもちゃともう一つ別の新しいおもちゃの2つを同時に提示して、先ほどのおもちゃの名前を言っても、2匹は正しく選ぶことはできませんでした。
研究チームは同じ実験を他の20匹の犬に対して行いましたが、新しいおもちゃの名前を覚えられた犬はいませんでした。研究者は「こうした新しい言葉を素早く学ぶ能力は犬では稀である」との解釈を示しています。
また、残念なことに新しい言葉の記憶は時間の経過とともに急速に薄れていくことも分かりました。新しい言葉を習得してから10分後と1時間後に行われたフォローアップテストでは、2匹はもう既に新しいおもちゃの名前を忘れてしまっていたといいます。
いかに賢い犬種といえど、ほかの犬と同じように繰り返し学習することが大切なようです。
Reference:Some dogs can learn new words after hearing them only four times -CNN-