ペットの死を経験した子どもは精神病理的な症状を抱えやすくなる、マサチューセッツ総合病院

大切に飼っていた犬や猫を亡くしてしまう悲しみはとても深いものです。子どもがペットの死を経験することについて、生命の尊さを学ぶ良い機会であると考える人もいますが、もしかしたら私たちが思っているよりも、子どもにとっては過酷なものかもしれません。

アメリカ・マサチューセッツ総合病院は、イギリスで現在でも行われている縦断研究「Avon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC)」に参加している6,260人の子どもを対象に、「7歳までにペットを飼ったことがないグループ」、「7歳までにペットの死を経験したグループ」、「7歳までにペットを飼っていたが死を経験していないグループ」の3つに分け、8歳時点での精神病理的な症状について各グループで比較を行いました。

調査の結果、ペットを飼っていた子どものうち63%は7歳までにペットの死を経験していましたが、これらの子どもではペットの死を経験していない子どもと比較して、抑うつや不安、妄想観念、脅迫症状といった精神病理的な症状を抱えやすいことが明らかになりました。

この結果は、家庭の経済状況や親、他人からの身体的・精神的な虐待などの要因を調整した後でも変わりませんでした。また、女の子よりも男の子のほうが、より大きな影響を受ける可能性が示唆されました。
一方で、ペットの死を経験した年齢や、その回数に関連はありませんでした。


Smaranda & Arpagic flickr photo by bortescristian shared under a Creative Commons (BY) license

子どもはペットに安らぎを求め、怖かった出来事や誰にも相談できないような出来事を話しかけるといった例が報告されているように、ペットの存在は子どものストレスを緩和し、共感力や自尊心、社会的なスキルを育みます。

しかし、子どもにとって大きな存在である以上、失った悲しみもまた大きなものになることが予想されます。

今回の研究について、アメリカ・南メソジスト大学の心理学者であるジョージ・ホールデン教授は、「子どもには伝えないでおく方が良いという考えもあるが、それは明らかに間違っている。ありのままの事実に向き合い、子どもと話し合い、子どもの意見に耳を傾けるほうがはるかに良い」とコメントしています。

この研究における最善の対処法については検討されていませんが、子どもを騙したり、ペットの死を隠したり、そもそも飼わないという選択を行うのではなく、子どもに寄り添い、一緒に乗り越えることが大切なのかもしれません。亡くなったペットも、間違いなくそう望むことでしょう。

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