カエルに食べられてもお尻から脱出する昆虫が発見される、神戸大学


naturalist2008より「A beetle species can escape from the vent of a frog」

昆虫は天敵から身を守ったり、逃げ切るためのさまざまな独自の行動を発達させており、これまではそうした逃避行動が主な研究対象とされてきた。しかし近年では、獲物に食べられてしまっても口から吐き出されて脱出したり、消化管を通過する例が報告されている。例えばナナフシの卵はとても頑丈に作られており、鳥に食べられてしまっても卵は無事に排出されるのだ。

参考記事
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しかし、口から脱出する場合と比較して、消化管を通過するのは容易ではない。排出されるまでの長い間、過酷な体内環境に耐えなければならないからだ。

神戸大学大学院農学研究科の杉浦 真治准教授はこのほど、コウチュウ目ガムシ科に属する、大きさ3.8~5.0mmほどのマメガムシという昆虫が、カエルに捕食されても生きたまま消化管を通過して、お尻から脱出することを発見した。

カエル類の多くには歯がない。厳密には、上アゴに獲物を引っ掛けて離さないための小さなギザギザの突起があるくらいで、基本的に獲物はそのまま丸飲みにする。生きたまま食べられることが、どうやらマメガムシにとっての活路であるらしい。

杉浦准教授はトノサマガエル、トウキョウダルマガエル、ツチガエル、ヌマガエル、ニホンアマガエルなどのさまざまなカエルにマメガムシを与えて観察を行った結果、程度の差はあれど大部分のヒメガムシが無事にお尻から脱出することを確認した。

トノサマガエルでは15回の試験回数で90%以上、ニホンアマガエルでは10回の試験すべてで脱出に成功したという。一方で、例えば同じガムシ科の一種であるキベリヒラタガムシでは捕食された13個体全てが死んだ状態で排出された。

興味深いことに、たとえばトノサマガエルでは他のエサを飲み込んでから消化物を排出するまでには早くとも24時間、最大で148時間もかかるが、マメガムシが排出されるまでの時間は早くて6分、最大でも3.5時間で脱出することができるのだ。

カエルのお尻は括約筋によって閉まっており、非力で小さなヒメガムシがこじ開けることが困難であると考えられることから、どうやらマメガムシはただ消化管内でなすがまま耐えているわけではなく、消化管内を移動しながら排便を促進させている可能性が高いという。今後の研究が待たれるところだ。