去年、2年ぶりに開催された第39回「日本の自然」写真コンテストのプリント部門で特選を受賞したある写真が、今年に入り「どのようにして撮影されたのか全く分からない」「見ていると頭がおかしくなりそう」と海外でも大きく注目され話題になっています。その写真がこちら。
大野健一さんの作品『隔たり』
『隔たり』と名付けられたこの作品は、埼玉県の大野 健一さんによって撮影されたもので、プリント部門に投稿された5,619点のうち見事「特選」に選ばれました。
サギを中心に背景の色が3色に分かれており、一見するとどこで、どのようにして撮影されたのか混乱してしまいます。この写真は当然ながら全く加工はしていません。一体どこで、どのように撮影されたのでしょうか?
まるで合成写真のよう
撮られている場所がどこなのかという前提がわかれば、意外にすんなりと理解できるかもしれません。まずこの写真はサギと水面を撮影したもので、右上の黄色い部分のみ”人工物”です。
一つずつ領域について解説すると、右上の黄色い部分が人工物で、右下の暗い黄色の部分がその人工物の水面反射、そして画面左側の青い領域はすべて本来の水面を映したものです。お判りになりましたでしょうか?
全日本写真連盟は、世界的に取り上げられたこの写真の反響を受け、大野健一さんから提供された「答え」の写真をFacebookにて公開しました。
2枚目がその撮影場所ですが、こうしてみると何の変哲もない風景にみえます。写真を撮影された大野さんの素晴らしい観察眼、そして技術により生み出された、とても素晴らしい作品であると再認識させられます。
この写真について、全日本写真連盟の審査委員は”インパクトが強い不思議な写真。どう撮ったのか、すぐには理解できない面白さがある。無風の状態ゆえに撮れた1枚だ。”と評価しました。
確かに「日本の自然」というテーマの写真コンテストに紛うことなき人工物を映したものを投稿するというのは、見方によってはかなり挑戦的かもしれません。
しかし、この作品名が『隔たり』であることを思い出すと、私たちはその意味について考えずにはいられません。
Reference
This Bird Photo May Break Your Brain (And No, It Wasn’t Photoshopped) -PetaPixel-