不安になるとドキドキするが、逆にドキドキさせると不安になる?心拍数と不安の関係が明らかに

ふだんから私たちも知っているように、不安や恐怖を感じると心拍数が増加し、いわゆる「ドキドキ」した状態になりますが、逆に心臓をドキドキさせると不安や恐怖などが引き起こされることはあるのでしょうか?

この疑問については以前から注目されていましたが、他の要素が実験に影響しないように心拍数だけを上昇させるのは難しく、薬の場合は副作用が、ペースメーカーなどの場合は埋め込み手術の負担などが実験に影響を及ぼす可能性がありました。

今回、スタンフォード大学の研究チームは光信号を使って心筋細胞に作用させる、埋め込み手術が要らない非侵襲型の光学ペースメーカーを開発し、マウスの心拍数を毎分660回から毎分900回へ増加させて検証を行いました。

その結果、マウスには確かに不安や恐怖が強く表れるようになりましたが、そうなったのは本当に危険な状態に陥る可能性がある環境におかれたマウスだけでした。

研究者がより詳しく調べてみると、心拍数が増加した際に不安を促進させているのは、全身からの信号を受け取って処理する後部島皮質と呼ばれる脳領域であると推定され、この後部島皮質の活動を抑制すると不安行動が減少することも明らかになりました。

論文の特筆者は、少なくともマウスに関しては、心拍数が不安に影響があることが明確に実証されたと説明しています。

もしかしたら、ストレスなどによって引き起こされる頻脈なども私たちの情動になんらかの影響を及ぼしている可能性もあるかもしれません。

Reference
Cardiogenic control of affective behavioural state -nature-

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