メダカはオキシトシンを抑制するとメスは性に奔放に、オスは一途になる

メダカとオキシトシン

私たちの日々の感情的な営みは、突き詰めれば脳内の神経伝達物質で制御されている。恋愛における傾向や好みもその例外ではない。少なくともメダカが異性を好む性質はどうやらオキシトシンによって制御されているようだ。

北海道大学、岡山大学、東北大学の合同研究チームは、メダカがどのような相手を好むかという傾向がオキシトシンによって制御されていることを明らかにし、その論文が今年2月の『Proceedings of the National Academy of Sciences(アメリカ科学アカデミー紀要)』に掲載された。

メダカのメスは「馴染み深い相手」、オスは「誰にでも」求愛する

一般にメダカのメスは「よくそばにいたオス」を記憶しており、そのオスの求愛を積極的に受け入れる傾向がある。一方で、オスの場合は親密度に関係なくメスに求愛するという。なんとなく共感を覚える人がいるかもしれないが、興味深いのはここからだ。

オキシトシンを合成できなくすると恋愛傾向が一変する

研究者らがゲノム編集技術を利用し、メダカのオキシトシン遺伝子を欠損させてオキシトシンが合成できないようにすると、メスでは本来備わっていた「馴染み深い相手」を選ぶ性質が無くなり、見知らぬオスでも積極的に受け入れるようになったという。逆に、オスでは初対面のメスには無関心になる一方で、親密なメスに対してはライバルとなるオスを追い払ってメスのそばにいるような様子が観察されたというのだ。

オキシトシンは、ヒトでは親密な他者に対する愛着を強める、俗に「愛情ホルモン」として知られているが、少なくともメダカではオスとメスで全く異なる行動の変化をもたらした。オキシトシンは、動物の種類や性別によってさまざまな働きを持つ可能性があるかもしれない。

ヒトでも関連する遺伝子や化学物質があるのか?

私たちヒトにおいても、一目見て気に入った相手にアプローチしたり、より親密な関係を築いてからアプローチするなど、異性に対する傾向は個人で分かれている。もしこれらの性質がどのような遺伝子、または化学物質が関与しているのかを解析、そして制御できれば、将来的には浮気やストーカーを”治療する”ことが可能になるかもしれない。

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