東京農業大学大学院の研究チームはこのほど、小笠原諸島で新種のカメムシを発見し、「オガサワラシロヒラタカメムシ」と名付けました。
研究チームは2021年から2022年にかけ、外来生物対策業務の一環で小笠原諸島にある父島、兄島、弟島で野外調査を行っていたところ、偶然にも正体不明のカメムシを発見。
のちにシロヒラタカメムシ属というグループに属する新種のカメムシであることが確認され、オガサワラシロヒラタカメムシ(学名:Nesoproxius kishimotoi)と名付けられました。
Reference
A remarkable new species of the flat bug genus Nesoproxius (Hemiptera, Aradidae), the first Oceanian representative with brachyptery -Zookeys-
このカメムシの体長はわずか3mmほど。カメムシというと独特の臭いを持つイメージがあるかもしれませんが、論文の特筆者である博士課程の嶋本習介さんが臭いを確かめようとしたところ、何度試しても臭いは感じられなかったといいます。
興味深いことに、シロヒラタカメムシ属のカメムシは一般的なカメムシと同じように長い翅を持っているため飛ぶことができますが、このオガサワラシロヒラタカメムシは翅がとても短いため飛ぶことができないのだそう。
絶海の孤島である小笠原諸島で長い間隔離されていたため飛ばなくなるという独自の進化を遂げた可能性があるといいます。
このオガサワラシロヒラタカメムシは現在のところ父島と弟島でしか見つかっていませんが、体長3mmほどのカメムシをいったいどのようにして見つけられたのでしょうか。
▽論文の特筆者である嶋本習介さんのツイート
世界自然遺産の小笠原諸島で新種のカメムシを発見し、「オガサワラシロヒラタカメムシ」として記載しました!
本種は翅が短く飛ぶことができない変わったカメムシで、小笠原諸島の固有種であると考えられます。
⬇️論文本文とプレスリリースはツリーから!⬇️ pic.twitter.com/3dufjpEgIJ— S. Shimamoto (@shimamoto1202) February 9, 2023
今回の調査はそもそも外来生物対策業務のために行われたもので、研究チームらは、このカメムシを含めた小笠原諸島のあらゆる生態系を外来生物から守る取り組みが必要不可欠であると説明しています。
Reference
A remarkable new species of the flat bug genus Nesoproxius (Hemiptera, Aradidae), the first Oceanian representative with brachyptery -Zookeys-
世界自然遺産・小笠原諸島から新種のカメムシを発見 -Digital PR Platform-
コーンフレークみたいだなと思ったけどめちゃくちゃ小さいんだな
トコジラミみたいだ