奈良公園のシカ、観光客が減っておじぎをあまりしなくなっていることが明らかに

奈良公園に生息している野生のシカが、新型コロナウイルス感染症の拡大による来園者の減少にともない、おじぎの回数が減っていることが奈良女子大学の研究チームにより明らかになりました。

奈良公園に生息するシカは、鹿せんべいを貰うためにしばしば頭を下げておじぎをする行動が見られ、この行動は奈良公園に生息するシカ独自の習性であり、奈良公園は海外でも人気の観光スポットになっています。

奈良女子大学によると、シカは攻撃前や恐怖などのストレスを感じたときにおじぎ行動を取ることが知られていますが、奈良公園のシカはおじぎを行うと鹿せんべいが貰えると学習し、その行動が親から子へ受け継がれているのだといいます。

シカがおじぎをする割合が激減

新型コロナウイルス感染症が流行する前の2019年ごろ、奈良公園に出没したシカは1回の調査あたり平均167頭いましたが、流行が始まると観光客が来なくなり、シカの出没数は平均65頭に激減してしまいました。

また、コロナ流行前の2016年9月~2017年1月と、コロナ禍の2020年6月~2021年6月にランダムで選んだシカ20頭のおじぎの回数を計測したところ、流行前では1回のエサやりあたりに平均して10.2回だったおじぎ行動が、コロナ禍では6.4回にまで減少したといいます。


観光客が減るとシカのおじぎ回数も減ってしまうようです。
奈良女子大学のプレスリリースより

鹿せんべいはシカの食事の2%程度を占めるおやつのようなもので必ずしも必要なものではなく、おじぎもおやつを手に入れるための学習行動に過ぎませんが、ヒトとシカが同じ地で仲良く共存するために必要なコミュニケーション手段の一つとして、これからも受け継がれて欲しいものです。

Reference
新型コロナウイルスによる⼈間活動の変化が野⽣動物に与える影響を解明 -奈良女子大学のプレスリリースより-

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