私たち人間は他の動物に対しても共感し、寄り添う生き物です。動物が怪我をしているのを見ると「痛そう」や「かわいそう」と感じ、しばしばそうした出来事に遭遇すると心を痛めます――
そんな私たちにとって、とんでもなく紛らわしい模様のハトがいることはご存じでしょうか。
ヒムネバトはフィリピンのルソン島やポリロ島に生息するハトの一種で、このハトの胸部にはまるで怪我をして血を流しているかのような赤い模様があり、見る人を思わずドキっとさせてしまいます。
MINDANAO BLEEDING-HEART DOVE flickr photo by cuatrok77 shared under a Creative Commons (BY-SA) license
このヒムネバトは森のなかに住む鳥で、巣作りや危険が迫ったとき以外はあまり飛ぶことはなく、地面の虫や落ちた果実、種子などを食べます。
ルソン島には、このヒムネバトに種子を運んでもらうことで生息地を広げている植物も少なくありません。
見た目だけは完全に急所を撃ち抜かれ重症ですが、元気そうでなにより。
Luzon bleeding heart dove aviary 3.25.18 DSC_0934 flickr photo by lwolfartist shared under a Creative Commons (BY) license
それにしても、とても紛らわしい模様です。このヒムネバトを飼育展示しているニューヨーク州ロザモンド・ギフォード動物園では、来園者からしばしば「鳥が怪我をして血を流していた!」といった報告がよくあるのだとか。
Luzon bleeding heart dove aviary 3.25.18 DSC_0961 flickr photo by lwolfartist shared under a Creative Commons (BY) license
実は、このヒムネバトが属するムナジロバト属(Gallicolumba)の一部には同じように胸部に赤い模様を持つ種がいますが、そのなかで最も”紛らわしく”見えるのが、このヒムネバトなのです。
同じムナジロバト属のミンダナオヒムネバト。この種では”赤い模様”であることがすぐに分かります。MINDANAO BLEEDING-HEART DOVE flickr photo by cuatrok77 shared under a Creative Commons (BY-SA) license
この赤い模様はメスよりもオスのほうがより目立ちやすいとされていますが、この赤い模様についての研究は少なく、その理由についてはよく分かっていません。しかし、もし私たち人間から心配されるためだとしたら大成功でしょう。
血の染みがリアルすぎ…
嘘つけWWW