単独飼育なのに突然出産したシロテテナガザル、その謎が明らかに

2021年に長崎県佐世保市にある九十九島動植物園森きららで、単独飼育していたメスのシロテテナガザルが突然出産した出来事について、京都大学の協力により2年越しに謎が解明しました。


シロテテナガザル「モモ」の仔の遺伝子学的調査結果について -西海国立公園九十九島動物園 森きらら-

事の発端は2021年の2月10日、飼育員が朝に獣舎を訪れるとシロテテナガザルの「モモ」が赤ちゃんを抱えているのを発見し、出産が発覚。

シロテテナガザルのモモは5~6年前から近親交配などを防ぐために単独飼育されており、オスと接触する機会もなかったこと、さらにテナガザル類は妊娠してもお腹が大きくなりにくいため妊娠中もまったく気付かなかったといいます。

同園では調査も行われましたが誰が父親なのか、いつ接触の機会があったのかわかっていませんでした。

そこで、調査のため2022年にシロテテナガザルとその子ザル、および父親の可能性があるオスのサル4頭(ヨタロー、カーリー、イトウ、カケル)の体毛と便のサンプルを採取して京都大学に鑑定依頼をしました。

その結果、DNA鑑定による父親はアジルテナガザルの「イトウ」であることが明らかになったといいます。

モモとイトウは午前と午後で交互に表の展示場に出るために直接会う機会はないものの、展示場とイトウの寝室は隣接しており、仕切りには直径約9cmの穴が並ぶパンチングボードを使用していたとのこと。

テナガザルは異種間でも同居して飼育できた例があったことから、同園ではモモとイトウの同居を見越し、かねてからこのパンチングボードを設置して「お見合い」を実施していましたが、いらぬ心配だったようです。

▽シロテテナガザルのモモちゃん。

九十九島動植物園森きららでは今後、再発防止に努めるとともに親子での同居を検討しており、親と子それぞれにとっての成長を温かく見守っていく方針であるといいます。

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シロテテナガザル「モモ」の仔の遺伝子学的調査結果について -西海国立公園九十九島動物園 森きらら-

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