ピューマが面白いほど何度でも振り落とされる、グアナコの背負い投げ

グアナコという動物を聞いたことはありますか?
グアナコはラクダ科ラマ属の動物で、南アメリカ南部のペルーやチリ、アルゼンチンなどに生息しており、90%以上はアルゼンチンに生息しています。

このグアナコを家畜化したものが、同じラマ属であるラマで、グアナコはラマの野生種、つまり祖先にあたります。

グアナコの世界は実力主義

その温厚そうな見た目に反して、実はライオンの”プライド”にも似た実力主義の社会性を持っています。

通常はオス1頭と複数のメス、その子どもからなる群れを作り、オスは独り立ちするとオス同士で小規模の群れを作ます。

この群れのなかでオスはじゃれ合いながら戦いの方法を学び、やがてオスは単独で群れを率いるトップのオスに戦いを挑みます。見事勝利すれば晴れて新しい群れのボスとなり、負けたオスは追放されます。

▽ナショナルジオグラフィック グアナコ-優しい顔に隠された闘志-

グアナコの驚くべき柔道技

このグアナコのおもな天敵はピューマですが、このグアナコの「強み」とは一体なんなのでしょうか。

グアナコの生息地には隠れる場所があまりないことが多いため、グアナコは見た目に反してなんと時速55~65kmというかなり早いスピードで走れます。
しかし最大の天敵であるピューマは最高時速80kmにも到達するので、足の速さだけではとても敵いません。

また、グアナコはラマと同じように臭い唾(実際には胃液)を2m先の相手に吐くこともできますが、これはあくまで威嚇・警告をするためのもので空腹の肉食獣を追い払うほどのものではありません。

実は、このグアナコが逃げ切るための最大の武器はなんと”首”です。

BBC Earth 『Puma Risks Life to Hunt』

至近距離からピューマに見つかり、あっけなくピューマにマウントされ首を噛まれますが――その場で高くジャンプし、勢いをつけてピューマを地面に叩き落とし、1回目。


Puma Risks Life to Hunt | Dynasties II -BBC Earth-

落とされて間もなく再びマウントされますが、しっかり掴んでいたはずの首がぐにゃりと曲がり、2回目。


Puma Risks Life to Hunt | Dynasties II -BBC Earth-

すぐに態勢を立て直して飛び掛かりますが、今度は首に掴まるのが精いっぱい。またも首がぐにゃりと曲がり3回目。


Puma Risks Life to Hunt | Dynasties II -BBC Earth-

もうすでに体力が無くなってきたのが、4回目は乗っている間もなく地面に叩き落とされ、逃げられてしまいました。

ピューマが弱点の首を狙うためには乗らなければなりませんが、首を掴んで噛もうとすると、しっかり掴めていたはずの首が勢いをつけながらぐにゃりと曲がり、面白いくらいに何度もたたき落とされてしまいました。

首がダメなら足は?

▽BBC Earth -Puma takes on Guanaco 3 Times Her Weight-

こちらもBBCの映像です。最初の笑っているようなおかしな鳴き声はグアナコが周囲に敵がいること知らせるメッセージのようなもの。

この動画でも同様に首をぐるんと回し、なんどもピューマが落下してしまいますが…今度はピューマに前足を掴まれてしまいました。

しかし大きさも体重も自らを圧倒的に上回るグアナコを相手に足止めするのはピューマにとって一苦労です。一生懸命後を追いますが逃げられてしまいました。

逃げること・見つからないことを目的とするよりも、捕まっても倒されないことに特化した、グアナコの驚くべき生存戦略の業でした。

Reference
Guanaco -San Diego Zoo Wildlife Alliance Animals&Plants-
Guanaco -NATIONAL GEOGRAPHIC KiDS-

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