深海生物のなかには極限環境に適応したためか、より奇妙でユニークな姿を持つものも少なくありません。
特に”stubby squid”、和名では”ボウズイカ”として知られるこのイカは2016年に深海探査で撮影されて以降、海外でインターネット・ミームとして絶大な人気を誇っていますが、このイカが最近の深海探査で再び確認され、ちょっとした話題になっています。それがこちら。
▽Schmidt OceanによるYoutubeのライブ配信映像。再生時間は11時間半もあるので注意してください。
こちらは現地時間で今月の4月25日に行われたシュミット海洋研究所の無人探査機(ROV)による深海調査のライブ配信映像で、このボウズイカが再び確認された途端、研究者の歓声があがりました。
ぎょろりとした虚ろで巨大な目を、左右それぞれに向けて海底でじっとしている様子は、まるで子どもが絵に描いた生き物を現実にしたかのよう。
Quite an interesting encounter with what appears to be a stubby squid?!? They are usually seen in colder waters, known mostly in the northern Pacific Ocean, so we were not expecting this in Caribbean…https://t.co/nyKkPf0Tm2
Timestamp 2023-04-25T20:25:19Z#DiagnosingDeepCoral pic.twitter.com/dgne5QZFXE— Schmidt Ocean (@SchmidtOcean) April 25, 2023
ボウズイカとは?
このボウズイカはNational Marine Sanctuary Foundationの説明によると、胴体部分の大きさは約6cm、全長は約11cmほどでメスの方が体が大きい傾向にあります。
おもに北太平洋の日本~南カリフォルニアの冷たい海に分布しており、水深20m~1,300mの海底に生息していますが、一般的によく見られるのは水深900m以降の海とのこと。
▽ボウズイカを有名にした2016年の深海探査
英語名では”stubby squid”と呼ばれており、”squid”とあるためツツイカ目の仲間と思うかもしれませんが、実際はコウイカ目(cuttlefish)の仲間で、他のコウイカの仲間と同じように体の色を変化させるのが得意です。
2016年の調査で確認された時には鮮やかな紫色にも注目が集まりましたが、実は赤褐色~灰緑色まで実にさまざまな色に変化させることができます。寿命は18カ月~2年ほど。
今回の探査でボウズイカに関して新しい発見も
ボウズイカは前述の通り、おもに北太平洋の冷たい海に生息すると考えられていましたが、今回の深海探査でカリブ海にも生息することが確認されました。
もともと分布の広いボウズイカでしたが、研究チームもまさかこのカリブの海で出会うとは思ってもいなかったでしょう。
今回の深海探査ミッションは終了してしまいましたが、Schmidt OceanのYoutubeチャンネルにはこれまでライブ配信された超高画質の動画をみることができます。
ほとんどの動画が数時間を超えるものになっていますが、かなりの高画質であるため、何かの作業を行っているときにモニターなどに写しながらインテリアのようにして見るのもいいかもしれません。
After yesterday's #Okeanos dive, we're excited to get back in the water! Today, we're exploring Nitinat Canyon off Washington, starting at ~1,050 m (3,445 ft). Join us as we traverse a canyon wall in search of coral, sponges, & other marine life: https://t.co/MJI0RrSmFR pic.twitter.com/LhiPWIEASA
— NOAA Ocean Exploration (@oceanexplorer) April 25, 2023
こうした生き物がカメラに突然現れるので、深海生物が好きな方にはとってもおすすめです!
Reference
Stubby Squid Facts -ThoughtCo.-
CREATURE FEATURE: GOOGLY-EYED STUBBY SQUID -National Marine Sanctuary Foundation-