回転しながら急降下、とんでもない飛行性能を持つトルコ原産のハト、ドネクとは?

ハトといえばどんくさいイメージがあるかもしれません。
少なくとも、私たちがふだん見かけるような、小刻みに頭を動かしながらよたよたと歩き、地面にある何かをついばむ姿からは想像することは難しいでしょう。

しかし、トルコにはとんでもない飛行性能を持ったハトがいることが知られています。

もともとハトの飛行性能はすごい

こちらの映像はアムステルダムからユトレヒトへ向かう高速道路で飛行するハトを捉えたもので、このときのハトの飛行速度はなんと時速100kmオーバー。この動画では、高速道路を走るすべての車を追い抜いていきました。

条件などが揃えば、一般的なカワラバトなどであっても時速150km以上で飛ぶことも可能なのだそう。

私たちが思っているよりも、もともとハトの飛行能力は優れており、さらにこれまでの歴史のなかで、ハトの飛行能力をより特化させた品種の改良なども頻繁に行われてきました。

このように、実はかなりの飛行能力を持っているハトですが、なかでも特に優れた驚くべき性能をもったハトの存在も知られています。――それがトルコ原産のハト、「ドネク」です。

ハトとは思えないアクロバット飛行をするハト「ドネク」

このトルコ原産のハト、ドネク(Donek)は見た目こそなんの特徴もない地味なハトに見えますが、驚くべきはそのとんでもない飛行性能です。まずはこちらをご覧ください。

まるでプロペラのように回転しながら落下していく様子は、とてもハトが行っているものとは思えません――

もしかしたら怪我や病気のハトがバランスを崩しながら落下しているものと思うかもしれませんが、これがドネクの特徴である急降下回転飛行「スパイラルダイビング」です。

このハトの品種名であるドネク(Dönek)は、ドイツ語で直訳すると「反逆者」や「転向者」などの意味がありますが、「回転」や「向きを変える」といった意味合いもあり、この特徴的なきりもみ回転の急降下のアクロバット飛行に由来してドネクと名付けられました

ドネクはスポーツ鳩、またはタンブラー鳩(タンブラーは曲芸の意味)として品種改良されてきただけに、多彩な飛行能力を持っています。例えば、このように宙返り飛行まで行うことも可能です。


Roller pigeon | indian tumbler pigeon stunts -@oabirds-

ただし、このドネクはこうした繊細なアクロバティック飛行に特化するよう品種改良されているため、他のレース鳩と比べてスピードはやや劣るそうで、飛行能力そのものがトップクラスに高いわけではありません。

しかし、こうしたアクロバティックで多彩な技を持つことから人気の品種となっており、ハトを空に放している最中に大型猛禽類に襲われても、他のハトと異なり生存率が高いことからもブリーダーから信頼されています。

平和の象徴として知られるハトですが、日本では古来から武神として有名な八幡神の使いとして武士に尊ばれてきました。
ドネクは、ハトの美しくも強かな一面を体現しているようです。

Reference
OGP Photo : @donekpigeons -Instagram-
The morphological characteristics of the Muradiye Donek pigeon, a natie Turkish genetic resource -ResearchGate-
Doneks An Introduction to the Sport -Angelfire-

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