このほど近畿大学の研究者らは、ミナミハンドウイルカの映像を解析するだけで一切触れることなく年齢を推定する方法を発見し、手法を確立することに成功しました。
今まではイルカが生まれてから年を数えていた
イルカの生態研究や保護を行っていくためには、そのイルカが何歳なるのかという情報がとても重要になります。
しかしこれまで、イルカの年齢をより正確に推定するには、歳を重ねるごとに増えていく歯の断面にある層を数える方法しかありませんでした。
もちろん生きている野生のイルカから歯を取ることはできないので、野生イルカの年齢を推定するにはまず生息する個体を識別して、生まれてから年齢をカウントするしかありませんでした。
そこで研究者らはミナミハンドウイルカのお腹にある斑点模様に注目。年齢を重ねるごとに斑点が増えていく傾向があることを2021年に発見し、これを利用して水中で撮影された映像を解析し、年齢を推定する方法を確立しました。
ミナミハンドウイルカのお腹にはそばかすのような斑点があり、歳を重ねるほどに増えていきパターンが変化します。
世界初!イルカに触れずに年齢を推定する方法を開発 野生ミナミハンドウイルカの生態解明と保全に繋がる研究成果
高い精度でイルカの年齢を推定することに成功
その誤差はなんと±2.5歳ほどで、ミナミハンドウイルカの寿命が45~50年程度であることを考えると、この方法は十分研究に利用できる範囲であるといいます。
実際、この手法により伊豆諸島の御蔵島周辺に生息するこれまで年齢に関する情報が全くなかったミナミハンドウイルカ89個体のうち、85%以上の個体の年齢を突き止めることに成功したといいます。
世界初!イルカに触れずに年齢を推定する方法を開発 野生ミナミハンドウイルカの生態解明と保全に繋がる研究成果
ある特定の地域に生息するイルカの集団のうち、85%以上の個体の年齢が収集されることは非常にまれで、研究者らはこの手法を使うことで今後は年齢ごとの死亡率などの解明を行い、保全などに活用していく方針です。
Reference
世界初!イルカに触れずに年齢を推定する方法を開発 野生ミナミハンドウイルカの生態解明と保全に繋がる研究成果 -NEWSCAST-