フィルターを使わない方式のコーヒーは心疾患のリスクを高める、ヨーテボリ大学

Coffee Filter
Coffee Filter flickr photo by Image Catalog shared into the public domain using Creative Commons Public Domain Dedication (CC0)

コーヒーは古代より私たちの生活に欠かせない飲料だ。コーヒーのカフェインは、人類におけるあらゆる活動の原動力になっている。だからこそ、コーヒーが健康に良いかどうかは非常に重要な問題だ。コーヒーと健康に関しては、これまで多くの研究がなされてきた。

今年4月に、コーヒーに関してまた新しい研究が発表された。どうやら、
コーヒーはフィルターを使って淹れた場合、心筋梗塞や狭心症などのリスクを低減できる可能性があるという。コーヒーの淹れ方には様々な方式があるが、なかには煮だしやプレスなど、フィルターを使わない方式もある。

スウェーデン・ヨーテボリ大学の研究者らは、ノルウェー在住の20歳から79歳までの心血管疾患や糖尿病、がんなどを発症していない男女508,747人を対象として、20年間の追跡調査を行った。

対象者のうち、フィルターでろ過したコーヒーをよく飲む人は59%、フィルターを使わないでコーヒーをよく飲む人は20%、両方のコーヒーを飲む人が9%で、ふだんコーヒーを飲まない人が12%であったという。

追跡調査の期間中に死亡した参加者は46,341人で、このうち12,621人は心血管疾患、6,202人は虚血性心疾患、2,894人は脳卒中に関連していた。この解析の結果、フィルターを使わずにコーヒーを飲んでいた、特に60歳以上の男性では心臓や血管に起因する死亡リスクの増加が確認されたという。ちなみにこの研究では年齢やBMI指数、たばこなどの要因について考慮され、修正が行われている。

ろ過をしていないコーヒーには、本来はフィルターなどで除去されるはずのコーヒー・ジテルペンであるカフェストールやカーウェオールなどが多く含まれている。これらの化合物は血中の総コレステロールおよびLDLコレステロールを上昇させ、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患のリスクを上昇させることが、これまでの研究からも明らかになっている。

しかし過去の研究では、カフェストールやカーウェオールに抗発がん作用があることが、ラットを使った実験から明らかになっており、必ずしも”有害物質”とは呼べないようだ。コーヒーの健康効果が長年に渡って議論され続けているのは、こうした事情があるからかもしれない。

今回の研究ではさらに、コーヒーを飲む人と飲まない人での解析も行われた。ろ過をしたコーヒーを摂取していたグループは、コーヒーを飲まないグループと比較してあらゆる死亡リスクが低下しており、男性で12%、女性では20%も減少していたという。やはりコーヒーは、私たち人類にとって”味方”であるようだ。

コメントを投稿する