口を開けたペンギンが怖いことは有名ですが、海で暮らす生き物には、ペンギンよりもさらにもっと恐ろしい口を持つものもいます。
世界最大のカメ、オサガメ
オサガメは太平洋や大西洋、インド洋の熱帯~温帯の海域で生息する世界最大のカメで、体長は最大で2.6m、重さはなんと900kg以上にもなります。
1億年以上も前から地球上に存在しているとされており、潜水能力も非常に高く、カメのなかで最も深い水深1,200mまで潜ることもできると言われています。
恐竜の絶滅期をも生き延びたこのオサガメですが、そのオサガメの口の中がまるでSF映画に登場するエイリアンのようだと話題になっています。
▽オサガメの口内。グロテスクなので閲覧には注意してください。
TORTUGAS MARINAS DEL ARCHIPIÉLAGO LOS ROQUES -UNA MANO AMIGA DEL ECOSISTEMA MARINO-
腕を噛みつかれたらそのまま食いちぎられてしまいそうです…
いくつもの突起があるこの特殊な構造は、オサガメの好物であるクラゲを食べるとき、クラゲを逃がさないまま余分な海水を吐き出すために用いられるもので、ペンギンの口内にある突起と同じ仕組みです。
また、この突起は口内を覆うようについているため、有毒クラゲの危険な触手から保護する働きもあるのだそう。
オサガメは絶滅が危惧されている
本当は肉を食いちぎるための口なのでは?と疑ってしまうような写真ですが、オサガメはそんなに強い生き物ではなくむしろ弱い生き物で、絶滅の危機にさらされています。
オサガメのメスは繁殖期になると上陸して1度に80個もの卵を産みますが、大人になれるのはなんと1,000匹に1匹ほど。
ほとんどが大人になるまでに捕食されますが、近年では人間の釣り糸や網にかかったり、海洋のプラスチックごみをクラゲと間違えて食べて死んでしまうなど、人間による影響が問題となっています。
特に深刻なのは、産卵場所の環境破壊や卵の違法採集で、卵は食料として利用されるほか、一部の地域では媚薬効果があると信じられているため、法的に保護されている現在でも違法採集が後を絶ちません。
一見恐ろしい、あの特殊な口内構造を持つのはもちろんオサガメだけではありません。一度食べてしまったプラスチックごみを簡単に吐き出すことができない理由が、よくわかってしまいます…
Reference
Leatherback Sea Turtle -National Geographic-
Is This a Picture of a Leatherback Turtle’s Mouth? -Snopes-