アメリカ・コロラド州南東部に生息するトカゲが、軍事基地周辺の騒音に対し、「やけ食い」をすることでストレスに対処している可能性があることがユタ州立大学の研究により明らかになりました。
この研究成果は『Frontiers in Amphibian and Reptile Science』に3月29日付で掲載されています。
コロラド・チェッカード・ウィップテイル(Aspidoscelis neotesselatus)と呼ばれるハシリトカゲの一種は、コロラド州南東部にのみ生息する固有種で、単為生殖により増えるため、すべての個体がメスのみで構成されています。
ユタ州立大学の研究者らは、ブラックホークヘリコプターやF-16戦闘機などが低空飛行を行うフォートカーソン軍事基地内において、準絶滅危惧種にも指定されているこのトカゲが、騒音攪乱(かくらん)によってどのような影響を受けているかを調べました。
トカゲは騒音により警戒モードに入る
その結果、騒音に曝された後ではストレスを示す血中のコルチゾール値が急激に高くなり、行動としては動き回る時間が減り、食事をする時間が増えていました。
多くのトカゲは意外にも聴覚に優れており、大きな音を察知したトカゲは警戒心を強め、隠れたり逃げたりすることで身の安全を守ると同時に、エネルギーを急速に消費するための代謝活動が行われるため、より多くのカロリーが消費されます。
要するに、このトカゲは騒音に対する気疲れのためにやけ食いを起こし、カロリーの補填およびストレスの解消を図っているようです
研究者らは準絶滅危惧種であるこのコロラド州固有のトカゲを保護するために、密集地への飛行を避けるか騒音レベルを抑えることを提案しており、さらにこのトカゲ以外の生物や、人間に対する悪影響についても懸念を示しています。
なお、今回の研究資金はアメリカ合衆国魚類野生生物保護協力協定に基づき、おもにフォートカーソン軍事基地が資金提供したのだそう。
Reference
Lizards at US Army installation are stress eating during flyovers -frontiers Science News-
Behavior, stress and metabolism of a parthenogenic lizard in response to flyover noise -frontiers-