肋骨を曲げて、まるで空中を滑るように移動する「トビヘビ」とは?

2018年11月1日

手も足も、翼もないヘビが空を飛ぶ――ナミヘビ科トビヘビ属のヘビは総称してトビヘビと呼ばれており、天敵から襲われたときなどに体を上手にくねらせて滑空し、遠くまで飛ぶことができる。東南アジアや南アジア、インド西岸部の一部に生息し、現在までに5種が確認されている。

樹上性で、ネズミや小鳥、トカゲやカエルなど食べる。毒を持っているが、毒性は弱いうえに毒のある牙は奥にあるので危険性はほとんどない。トビヘビのうち最も小さいベニトビヘビは約60cm程度で、種類によっては1m以上にもなるが、小さいほど滑空能力は高いようだ。


Golden Tree Snake (Chrysopelea ornata ornatissima) flickr photo by berniedup shared under a Creative Commons (BY-SA) license
ゴールデントビヘビ(Chrysopelea ornata)

猫は高所から落下する際には尻尾を回転させてバランスを取るが、ゴールデントビヘビも同じように、落下中に特殊な体勢をとって、体を巧みにくねらせることによって落下時の水平移動距離を最大にしている。一方で、パラダイストビヘビの場合は特殊だ。

パラダイストビヘビはゴールデントビヘビとは異なり、落下する際にはなんと肋骨を広げて、体を扁平にするのだ。このときの胴の幅は2倍近くにもなり、断面はまるでCの字のようになって空気をうまくとらえ込む。このように体の形状を変えて空気抵抗をより大きくすることによって、パラダイストビヘビは滑空中に進路を変更したり、風の強さや滑空する高さによっては水平距離で100m以上も移動することができるのだ。

肋骨を広げて体を扁平に変形させるという性質はとても興味深いが、体を扁平にすること自体は、ヘビの仲間では決して珍しいものではない。例えばフードコブラ属は威嚇するときや興奮したときには”首”(頸部)を平らにして大きく見せる。あの有名なキングコブラがいい例だ。そもそも、コブラとはコブラ科のうち主に上体部を直立させて、頸部を広げることができるものを指す。


King cobra with snake keeper nearby, at Reptile Park, Gosford flickr photo by John Englart (Takver) shared under a Creative Commons (BY-SA) license

トビヘビがなぜ滑空するのか、どのくらいの頻度で滑空を行っているのかはあまりよく分かっていない。敵から逃げるためはもちろん、木から木へと移動するためのエネルギーを節約するためのものであるとも考えられている。


Chrysopelea paradisi flickr photo by dnatheist shared under a Creative Commons (BY) license 
パラダイストビヘビ(Chrysopelea paradisi)

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