動物たちの不思議な目玉模様「眼状紋」とは?

2018年10月12日


2009 04 19 – 4533 – Washington DC – Natural History Museum – Butterfly flickr photo by thisisbossi shared under a Creative Commons (BY-SA) license
フクロウチョウの一種。

私たちは言葉でのコミュニケーションとは別に、しばしば目を見ることによって相手の気持ちや考えなどを読み取ることがある。視線を真っすぐに向けて話しているときは、何か重要なことを伝えようとしているものだと考えるし、逆に視線を泳がせているときや、逸らしているときは何か後ろめたいことや隠したいことがあるものだと考える。

まさしく「目は心の窓」であるが、それは私たち人間だけに限った話ではない。言葉によるコミュニケーションができない動物たちにとって、目はとても重要な意味を持っているのだ。

自然界において、目が非常に重要な存在であることを教えてくれるのは、一部の蝶や蛾などに見られる目玉模様だ。眼状紋(がんじょうもん)と呼ばれるこの目玉模様は、種類によってはとても精巧に作られていて、私たち人間が見ても一瞬びっくりするくらいだ。この眼状紋は、蝶や蛾の捕食者である小鳥などを襲う、大型猛禽類ネコなどの目を模していると考えられており、”捕食者の天敵”と同じ目で威嚇することによって、自らの身を守っていると考えられている。人間の私たちですら騙されるのだから、鳥にとっては非常に効果的なのだろう。


Pale Owl Butterfly, Caligo telamonius, Sach’s Butterfly House, Chesterfiled, IL_2 flickr photo by Ranger Robb shared with no copyright restrictions using Creative Commons Public Domain Mark (PDM)
蝶の眼状紋は色の違う一つ一つの鱗粉で描かれる”モザイクアート”だ。興味深いことに、眼状紋が発生する元となる部分の細胞群を破壊すると眼状紋が発生しないことが明らかになっており、さらにその細胞群を別の場所に移植させると、そこに立派な眼状紋が発現するという。

目を欺くための”目”


Twin-spot Goby (Signigobius biocellatus) flickr photo by krokodiver shared under a Creative Commons (BY) license 

眼状紋は相手を威嚇させる効果もあるが、それだけではない。例えば、カニハゼというハゼの仲間には、背ビレに大きな2つの眼状紋がある。カニハゼを狙う捕食者は、目玉模様のある背ビレを、弱点の頭部と間違えて攻撃するが、実際の頭部は全く別の場所にあるので、攻撃が当たっても致命傷にはならないのだ。このようにして、カニハゼは目玉模様に攻撃を向けさせることで、天敵からの致命的な攻撃を避けているのだ。

また、カニハゼの本当の目がある部分には、茶色い縦のライン模様が入っている。これは、実際の眼がどこにあるか分からないようにするための、一種のカモフラージュであると考えられている。どこまでも”抜け目”のない逃走者だ。


Peacock flickr photo by PS-OV-ART Patty Sue O’Hair-Vicknair, Artist shared under a Creative Commons (BY) license

忘れてはいけないのは、クジャクの羽にある美しい眼状紋だ。羽を大きく広げ、多くの目玉模様を見せつけるこの行動は、威嚇のための行動であると思われがちだが、実際は求愛のために行われる行動だ。さらにいえば羽を広げるのはオスのみで、繁殖期である春から夏にかけての間でしか見られない。

この目玉模様は、研究によると天敵を驚かせるよりもメスの好みに大きく影響しているそうだ。しかし、ふだんの移動すら困難にさせ、さらにはクジャクの天敵さえも引き寄せてしまうこの目玉模様のある大きな羽は、種の繁栄に何らかの役割を果たしていると”睨んでいる”研究者も多い。一体、どんな秘密が隠されているのだろうか?

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