Let’s See What’s Behind Door #3 flickr photo by gfpeck shared under a Creative Commons (BY-ND) license
かつて放送されていたアメリカのクイズ番組「Let’s make a deal」で勝ち抜いた挑戦者は、ある最終問題に挑むことができる。3つの扉のうち、ある扉の向こうには新車が、残り2つの扉の向こうにはヤギが待ち構えている。挑戦者が正解の扉を開けば見事、その先の新車を手に入れることができるというわけだ。
挑戦者が扉を1つだけ選ぶと、司会者のモンティ・ホールは「最後に1回だけ別の扉に変えても構いませんよ」と言いながら、挑戦者が選ばなかった扉のうち、ヤギのいるハズレの扉をオープンして見せる。挑戦者は最初に選んだ扉をそのまま選ぶか、別の扉に選び直すか最後の決断に迫られる――
司会者のモンティ・ホールがハズレの扉を1つオープンした時点で、挑戦者はドアを選び直す権利が与えられる。残り2つの扉はアタリかハズレのどちらかであるので、確率は2分の1であるように思われる。
最初の扉をそのまま選ぶか、別の扉を選び直すか――もはやどちらか選ぶしかないはずのこの問題に最善策を示したのは、ギネスにも認定されている最も高いIQを持つ女性マリリン・ボス・サバントであった。彼女は自身の連載している企画に、読者から寄せられたこの問題に対して「別の扉を選び直した方が、正解の扉である確率が2倍になる」と答えたのだ。
つまり最初に選んだ扉をそのまま選んだ場合、それが正解の扉である確率は3分の1だが、別の扉を選び直した場合、それが正解の扉である確率は2倍の3分の2であるというのだ。サバントが出したこのアドバイスに全世界から批判が殺到、その中には著名な数学者までもが含まれていたという。しかし現在では、サバントの解答が正しいことが証明されている。
本当に「別の扉に選び直す」方が良いのだろうか?3つの扉をそれぞれA・B・Cとして、正解の扉をAとする。このとき、「別の扉に選び直したとき」の結果について場合分けして考えてみよう。
解答者が最初にAを選んだ場合
解答者がAを選ぶと、司会者はハズレの扉であるBかCの扉をオープンする。解答者がここで別の扉に選び直すとオープンにならなかったBかCいずれかのハズレの扉を選ぶことになり、ゲームは失敗となる。
解答者が最初にBを選んだ場合
解答者がBを選ぶと、司会者はハズレの扉であるCの扉をオープンする。解答者がここで別の扉に選び直すとアタリのAの扉を選ぶことになり、ゲームは成功となる。
解答者が最初にCを選んだ場合
解答者がCを選ぶと、司会者はハズレの扉であるBの扉をオープンする。解答者がここで別の扉に選び直すとアタリのAの扉を選ぶことになり、ゲームは成功となる。
このように、解答者は別の扉に選び直すことで3分の2の確率でゲームを成功させることができるのだ。どのようなことが起きたかよく見てみると、最初にハズレの扉を選んでしまった場合、残りは「ハズレの扉」か「アタリの扉」のどちらかになる。ここで「選ばなかったハズレの扉を1つだけオープンする」というルールによって、「ハズレの扉」が明らかになると残りは「アタリの扉」だけが残るので、別の扉に選び直すことでアタリの扉を選ぶことができるのだ。最初にハズレの扉を選ぶ確率は3分の2であるため、別の扉に選び直すことでゲームに成功する確率もそのまま3分の2になるというわけだ。
この一連の騒動は、現在ではモンティ・ホール問題またはモンティ・ホール・パラドックスとして知られている。著名な数学者までもが間違えたこの問題、あなたは理解することができただろうか?
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