Lightning storm off Cooke Point, Port Hedland, Australia flickr photo by DrWang86 shared under a Creative Commons (BY) license
雷が苦手な人は多いだろう。ましてや、雷が直撃するなんて考えたくもないことだ。しかし実際のところ日本国内では落雷事故による死亡例が毎年数件報告されており、現実的には起こり得ることだ。もし、人に雷が落ちてしまうとどうなるのだろうか?
雷ほどの強大な電気エネルギーが人体を通過したときの損傷は凄まじいものになる。特に頭部や心臓・肺などの生命維持に必要な主要器官に電流が通過すると即死、あるいは一時的な機能不全に陥ってしまう。一方で、衣服や身体の状態・周囲の環境によってはほとんど後遺症なく回復する場合もある。身体を流れる電流の経路が生死を大きく左右するのだ。
落雷事故の被害に遭った人には、身体の一部に「電紋(でんもん)」と呼ばれる特殊な痕が残る場合がある。これは落雷事故に特有の症状で、体表で発生した沿面放電によって熱傷痕が体表に沿って細かく分岐するように樹状に形成されたものだ。この電紋の熱傷は浅いため数週間~数か月で治癒する場合が多い。
Voica la cicatrice laissée par la foudre lorsqu'elle nous frappe (1 chance sur 300k) : on appelle ça la figure de Lichtenberg. Pour rappel, un éclair peut chauffer l'air ambiant à 27760°C (5x plus chaud que la surface du soleil) et peut contenir jusqu'à 1 milliard de volts. pic.twitter.com/kC0ouNnyxa
— M a r ' C a s t o r : chaque soir une histoire (@MarieCPalot) August 14, 2020
雷に伴う衝撃波も脅威の1つである。雷が通過した大気の温度は2~3万度にも達するといわれており、この高温により急激に膨張した空気が衝撃波を発生させるのだ。より軽度なものでは鼓膜などが破れることがあるほか、より重篤なケースでは頸髄損傷や頭蓋骨骨折などの傷害が報告されている。
このような落雷事故は意外にも雨上がりの穏やかな空が見え始めたときに発生するケースが少なくない。まさしく「晴天の霹靂(へきれき)」は起こり得るのだ。例え雷雨が終息して晴れ間が見え始めても天候を注意深く観察することが大切だ。