連続犯罪者は意外と近くに潜んでいるかもしれない――「円仮説」とは?


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放火、強盗などの犯罪は時として連続で発生する場合がある。犯罪プロファイリングでは、これらの犯行現場から犯人の住居または拠点を絞り込むいくつかの方法が存在するが、そのうち最も有力な仮説の1つがこの「円仮説」だ。

円仮説は「連続犯罪における犯行現場の最も離れた2点を結んだ直線を直径とする円の内側に犯人の住居または拠点がある」とする仮説である。日本での連続放火を対象としたいくつかの検証では、7割程度の事件が円仮説における円の内部に犯人の拠点が存在していたという。また、興味深いことに犯人が拠点とする場所は円周の近くに分布していることが多く、犯人の拠点周辺では「バッファーゾーン」と呼ばれる犯行が起こらない領域が存在する。

この円仮説で予測される犯行拠点の範囲は広いため犯人を特定できるような有力な手法とは言えないが、手法そのものは至ってシンプルで非常に理解しやすく、私たちでも簡単に推測することができる。

しかしながら、残りの3割程度の犯罪はなぜ円仮説に当てはまらなかったのか?
実は、連続犯罪では大きく分けて「拠点型」と「通勤型」の2種類が存在するのだ。ある地点を拠点としてその周辺で犯行を行うが「拠点型」であり、この場合は円仮説で予測することが可能であるが、犯人が拠点から離れた地域に移動して犯行を行う「通勤型」では円仮説で予測することができないのだ。

つまり円仮説などで予測するより先に、犯人が「拠点型」なのか「通勤型」なのかを判断する必要があるということだ。例えば連続放火の場合では犯行地点の距離が1~5km以内で犯行の期間が長期的であり、車やバイクまたはバイクカバーなどに放火する場合や、放火に際して窃盗など他の犯罪がないといった特徴は拠点型に多い。

とはいえ、拠点型と通勤型のいずれも犯行現場はある特定地域に限局して起こりやすい。もしあなたの周辺地域で放火が頻発しているなら燃えやすいものを家の近くに置かない、強盗や性犯罪ならなるべく暗い場所や狭い路地などは避けるなどといった犯罪に巻き込まれないための対策をすることが大切だ。