ギリシャ神話の怪物に由来する、無数の触手を持つ深海生物「テヅルモヅル」とは?


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テヅルモヅルは世界中の浅海から深海に生息する棘皮(きょくひ)動物で、いわゆるクモヒトデの仲間だ。腕の本数は5本であるが,多くの種では腕が複雑に分岐しており、サメハダテヅルモヅルでは数十回も分岐してまるで絡まった毛糸玉のように見えるが、その一方で全く分岐しないキヌガサモヅルのような種も存在する。


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代表種であるオキノテヅルモヅルの属名にある「Gorgonocephalus」がギリシャ神話に登場する頭髪が蛇の怪物「ゴーゴン」を意味するように、無数に分岐した腕はうねうねと動いて海底を移動したり、エサを集めるのに役立つ。


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エサとなるのは小さなプランクトンや死骸、排泄物などが集まったデトリタスおよびマリンスノーなどの懸濁物であり、細かく枝分かれした触手や粘液によって捕えて触手または絨毛突起の流れによって口まで運んで食べる。


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地引き網などにかかることがあり、触手と網が複雑に絡み合って除去するのが大変なので漁業を営む者にとっては厄介者扱いされる。研究者にとってはサンプルの入手が困難であり、世界的な研究者数も少ないため分類や研究があまり進んでいないという。

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