恐らく”世界で最も有名”なキノコ「ベニテングタケ」とは?

毒気のある深紅色と不気味な白い斑点がついたこの「ベニテングタケ」は見た目通りの毒キノコだ。まるで”絵に描いた”ような毒キノコであるのは、このベニテングタケこそがで最も有名な毒キノコだからであろう。世界各地で見ることができ、日本にも分布している。

1本食べただけで死ぬような量ではないもののイボテン酸やムスカリン,ムッシモールなどの有毒成分を含み、摂食から15~90分以内に痙れんや吐き気、せん妄や下痢、昏迷などの症状を引き起こすが激しくなることは稀である。解毒剤はないため治療には胃洗浄や活性炭による毒素吸着下剤の投与などが行われる。


fly agaric at dunvegan castle flickr photo by notacrime shared under a Creative Commons (BY-SA) license

かさの表面にある白いイボは,成長途中で付着したツボの破片である。ハエをよく誘因して捕殺するため英語ではFly Agaric(フライ・アガリック)日本においても「ハエトリタケ」と呼ばれることがある。

このような特徴的な見た目にも関わらず、数件の中毒症例が報告されているのは食べられるキノコであるタマゴタケと色や形状が非常によく似ているからであり、間違って食べてしまうことも少なくない。いずれも夏から秋にかけてコナラやシイなどの林床で見つかり、各発生段階での形状がよく似ている。


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間違われることの多い食用のタマゴタケ。

この2つの見分け方についてはベニテングタケに特徴的なかさの白いイボやタマゴタケに特徴的な卵状のつぼ部分などが大きく異なっているほか、タマゴタケは柄の部分やかさの部分が黄色であるのに対してベニテングタケは白色となっているのだ。

ベニテングタケを世界で最も有名にしたのは恐らく「スーパーマリオブラザーズ」であろう。世界的な大ヒットを記録したこのゲームに登場する「スーパーキノコ」というアイテムはベニテングタケをモデルにしたとされており、このアイテムを獲得すると操作キャラクターは大きくなってプレイヤーはゲームを有利に進めることができるのだ。また、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』にも食べると体が伸び縮みするキノコが登場する。

この大きくなるという設定は、恐らくはベニテングタケのせん妄症状に由来しているのかもしれない。『不思議の国のアリス』の執筆においてルイス・キャロルはアメリカの菌類学者M.C.クックの著書である『The seven sisters of sleep』に書かれているベニテングタケの錯視症状の記録から大きなインスピレーションを受けたという。

歴史的に長く、ある意味で”親しみのある”ベニテングタケは国内の一部では毒抜きをして食用とする地域もあるそうだが、食べるのは非常に危険な行為なのでベニテングタケは原則として食べないように十分注意してほしい。