some fruit flickr photo by vinmar shared under a Creative Commons (BY-SA) license
野菜や果物を買った後はまとめて冷蔵庫に保管するという方も多いのではないだろうか?しかし、いくつかの果物は一緒に保管している他の野菜や果物の老化を促進させ、早くに腐らせてしまうものが存在する。
この老化が促進される現象はエチレンと呼ばれる化学物質が原因となって起きる。エチレンは化学式C2H4で表される単純な化合物で、植物では成熟に関わる植物ホルモンとして知られている。
Bananas flickr photo by Todd Kulesza shared under a Creative Commons (BY-SA) license完熟したバナナの輸出は品質管理的な理由から法律によって禁じられているため青く未熟な状態で収穫され,輸入後にエチレン処理を行って追熟させる。現地では「日本人は青いバナナを食べる」と勘違いしている人も少なくないという。
多くの植物はあらゆる組織や器官でエチレンを生成して果実を追熟させる。このエチレンが呼吸と共に外へと放出され、他の果物や野菜に影響を与えるのだ。一部の野菜や果物にはエチレンガスの影響を受けて自らのエチレン生成をより促進させるものもある。
エチレンをよく放出する、つまり一緒に保管すると他の野菜や果物に悪影響を与えるものにはリンゴやメロン,モモ,ナシなどが知られており、あまり一般的ではないがパッションフルーツやチェリモヤはリンゴと並んでエチレンの放出量が高い。これらの食品を一緒に保管するときはビニール袋などで包んで分けるように保管しておくと良いだろう。
Fuji Apple flickr photo by Veganbaking.net shared under a Creative Commons (BY-SA) license エチレンガスの放出量が多いことで有名なリンゴであるが実は品種によっても大きな差があり,「ふじ」や「さんさ」といった品種ではエチレンガスの放出が少ないことで知られている。
エチレンの放出量は乾燥したり傷つけるといったストレスでも増えることが明らかとなっている。傷が少ないものを選んだりカットせずに保存することで他の野菜や果物をより長く保存することができる。
また、このエチレンの追熟作用を利用することでまだ熟れていない果物を早く熟成させることができる。小分けしてある袋の中に追熟させたい硬いキウイやアボカドなどを一緒に入れておくといいだろう。