ハトはなぜ首を振りながら歩くのか?

2017年3月12日


Birds of a Feather flickr photo by photographerpandora shared under a Creative Commons (BY-ND) license

ハトはスズメやカラスに次いで日本ではごく一般的な鳥類だ。平和の象徴として知られている一方で、フン・営巣による被害や独特な挙動から嫌いな方も結構多いのではないだろうか。特に首を振りながら歩くその姿は恐らく意見が分かれるところだろうが、あの独特な挙動にはハトにとって実は大きな意味があるのだ。

ハトを始めとする多くの鳥類はヒトのように眼球を動かすことができない。さて、ハトになった気分で周りのものを見てみよう。眼球を動かさずに周りのものを見ようとすると、あなたは首を回すしかない。ハトが首を振りながら歩くのは、実は眼球を動かせないことが原因なのだ。


Pigeons flickr photo by pterjan shared under a Creative Commons (BY-SA) license

ハトが歩くと、眼球は固定されたままなので視点は歩くたびに移動してしまう。これでは周りの景色をよく見ることはできない。そこで、ハトは移動する前に頭部を前に突き出して空間のある一点に固定することで、体が頭部に追いつくまでの一瞬ではあるが周りの景色をよく見るために必要な時間を作ることができるのだ。これが、ハトが首を振っているように見える理由である。

実際に1970年代に行われたハトをランニングマシンに乗せて観察する実験では、ハトは首を振らなかった。この結果は、歩いても周りの景色は動かないので首を振る必要が無かったと言い換えることもできる。
この動作は地上で活発に動き回るハトやニワトリにおいてよく見られる行動であり、多くの鳥はそれほど活発に地上を動き回ることがないか長く柔軟な首を使って眼球の動きをカバーしている。かくいうハトやニワトリも、それが不器用というわけではない。下の動画はニワトリであるが、首を柔軟に動かすことで頭部を固定し、視点をうまく安定させていることが分かる。

ハトが苦手な人も機会があれば見て欲しい。首を振る動作はよくよく見れば可愛いものだ。彼らが大挙して押し寄せてこない限りは。

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