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人物や地名,物などの何らかの名称を思い出そうとする際にその名称の頭文字や文字列の一部,文字数や似ている単語しか思い出せなかった事は無いだろうか?
この現象は,心理学用語でTOT現象(TOT:Tip of The Tongue)という。つまり舌先までその言葉が出かかっているのに思い出せない現象のことだ。日常的に誰もが経験し得るこのTOT現象の認知メカニズムを解明しようと,これまでに多くの研究が行われてきた。
このTOT現象は高い年齢であるほど生じやすいことが知られている。年齢が比較的高いと語彙が豊富になり,検索対象が多くなるために検索に失敗しやすいと考えられている。子供の場合,記憶している語彙が少ないので言語的な検索は例えるなら100個の中から1個だけを探せばよいが,大人の場合は記憶している語彙が多いため1,000個の中から1個を探さなくてはならない。子供と大人で特定の単語の検索は,どちらが簡単であるかお分かりだろう。
しかし高齢になると脳機能の低下により言語的な検索機能が衰え,TOT現象が頻発することも実験で確認されている。>また,心理学においてTOT現象に伴う不快な情動>も注目されている。確かに,もう少しで思い出せそうなのに思い出せない状態というのは何とも歯がゆい>ものだ。