がん恐怖症を克服する

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時々起きる身体の痛みや不調から「自分は重篤な病気に罹っているのではないだろうか」と考え込んでしまい,他の事が手に付かなかったり,眠れなかったりして不安に押し潰されそうになった事はないだろうか?

このような自分が何らかの重篤な疾病に罹患していると不安になり,引き起こされる諸症状は疾病恐怖症または病気恐怖症と呼ばれる。これらは強迫性障害の一症状として現れる場合が多い。この疾病恐怖症の中でもがんに対する不安を抱える人は多く,疾病恐怖症の一群としてがん恐怖症と呼ばれている。

がんは日本人の死因の第1位で,死に直結するような病気であり不安を想起させやすい。また,がんは身体のあらゆる部位に発生するためがん恐怖症の患者は身体の各所で起きた不調をがんに由来する症状ではないかと考えてしまう。突然,鼻血が出れば鼻腔がん,口に腫れものがあれば口腔がん,見覚えのないホクロがあれば皮膚がん,リンパが腫れていれば悪性リンパ腫といった具合だ。

がん恐怖症を克服する為には,何らかの努力をする必要は無く,考え方を変えるだけである程度改善することができる。

1.あなたが30代以下である場合,がんに罹患する確率は非常に少ない。

次のグラフは国立がん研究センターが年齢別にがんに罹患するリスク(がんと診断される確率)を表したものだ。例えば,現在30歳である男性が20年後までにがんと診断される確率は2%となる。

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0歳を基準に見てみると,40歳までにがんと診断される確率は男性で1%,女性で2%しかないのだ。

2.がん恐怖症の患者が癌に罹患する確率は低くなる。

国立がん研究センターの研究によれば,男性では胃がんと大腸がん,肺がん,女性では胃がんと大腸がん,肺がんと乳がんだけで全てのがんの50%を占める。

しかもこれらはリスク要因が解明されており,生活習慣などの環境要因が主な原因である事が明らかとなっている。例えば肺がんは喫煙,胃がんは飲酒と塩分摂取などで罹患リスクが上昇し,大腸がんは繊維質の摂取と適度な運動によってリスクを減少させることができる。がんに対する恐怖心から健康的な習慣を心掛けていればそれだけ癌に罹患する確率も低くなるのだ。

3.がん治療は常に進歩し続けている。

がん治療は現在,医学において最も研究されている分野であり,初期段階で簡易的にがんを見つけ出す新しい発見法や患者の身体的,経済的な負担が抑えられた治療法や膨大なエビデンスに基づくリスク研究で明らかになった予防法など常に研究・開発が進められ,医療現場に還元されているのだ。がんが恐ろしい病気ではなくなる日もそう遠くないだろう。

前述にもあるが,がん恐怖症は疾病恐怖症の一群であり,強迫性障害が原因となっている場合が多い。日常生活に支障をきたすほど重篤な場合は精神科などの受診を検討してみてもいいだろう。

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