火薬による世界最大級の爆発事故「ハリファックス大爆発」とは?


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世界三大発明の一つである火薬。その火薬がもらたした人類への恩恵は計り知れない。 例えばトンネルや鉱山の掘削は元々,ツルハシなどの器具を使った人力に頼らざるを得なかったが, 火薬を用いたダイナマイトによる新しい掘削方法によって数十年かかる工事が数か月に短縮された。過酷な労働環境も改善され,鉱物や資源の採掘が急速に進み今日の文明社会は火薬によってもたらされたものだ。

しかし,その火薬が戦争に使われ,多くの人々が犠牲となったのもまた事実である。中でも,ハリファックス大爆発と呼ばれる爆発は世界最大規模の火薬による爆発で約1,500人にも及ぶ死者と8,000人近くの負傷者を出した。この事故はなぜ起きたのだろうか?


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爆発後のハリファックスの様子。

1917年12月6日,カナダのハリファックスは当時,第一次世界大戦の最中でフランスのモンブラン号はアメリカから大量の火薬を積んでフランスへ向かう途中であった。
一方でノルウェー貨物船のイモ号はこれから積み荷をする予定で、このときイモ号はハリファックスの左側を進行していた。水上では右側の通行が通常だが,多くの船は埠頭までの通行の利便性から左側を通る事が多かったという。

規則通りに進行していたモンブラン号と規則違反していたイモ号は視界の悪い朝霧が立ち込める中,至近距離で遭遇した。両船がこれに気付き,汽笛による通信でも食い違いが生じ,ついに接触した。バランスを崩したモンブラン号の引火性の高いベンゼンが漏れだし,発生した火花によって引火して燃え上がった。

モンブラン号の乗員は非難し、無人となったモンブラン号は流れ着いた先の建物に燃え移った。この事態に気付いた他の船や消防隊,見物客が集まった中,突然船の中の爆薬が一気に爆発した。激しい爆風と,爆発により生じた津波,爆発に時間差があった事により多くの人々が集まっていた事もあり被害はさらに大きくなった。


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寒波の影響で大雪となり、救出作業は難航した。爆発があった日にすぐ救援物資を運んだボストンには感謝を込めて毎年,大きなクリスマスツリーを贈るのだという。

現在の戦争は核兵器が最大の脅威であるが,最前線で用いられているのは爆弾や弾薬で用いられる火薬であることに違いはない。ダイナマイトをはじめとする多くの爆薬の開発により莫大な富を築いたアルフレッド・ノーベルがその財でノーベル賞を設立させ,そこに平和賞があるように戦争のない未来を願い続けた人々の存在を忘れてはならない。

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