融合に成功した野菜「ポマト」とは?

0001

1977年,西ドイツのG.メルヒャースによってある野菜が作られた。ポマトと名付けられたその野菜は,地上ではトマトを実らせ、地下ではジャガイモが育ったのだ。この野菜はどのようにしてできたのか。

これは「細胞融合」と呼ばれる技術でトマトとジャガイモの葉の細胞をそれぞれセルラーゼという酵素で細胞壁のセルロースを分解させる。このようにしてできた,植物細胞の細胞壁を取り除いたものをプロトプラストという。さらに,このプロトプラストにポリエチレングリコール液を加えることで,この細胞同士を融合できるのだ。


flickr photo shared by Ruth and Dave under a Creative Commons ( BY ) license
ジャガイモの実。トマトとジャガイモは同じナス科の植物で,その実はとてもよく似ている。

このように自然交雑はできなくても,近縁のものであれば細胞融合によって雑種を作ることができる。同様のものにオレンジとカラタチを細胞融合させたオレタチ,カンランとハクサイを細胞融合させたバイオハクラン,メロンとかぼちゃを細胞融合させたメロチャなども存在する。

しかし,実際にポマトから作られるトマトとジャガイモは どれも小振りで,ジャガイモは細くて小さく、トマトはミニトマトより小さかったのだ。光合成によって得た養分がトマトとジャガイモのそれぞれに配分されるので,どちらも未発達になる。では,このポマトは失敗作だったのだろうか。

実は半分成功で、元々は温暖な地域や気候で育ちやすいトマトにジャガイモの耐寒性を付与させる為に作られたのだ。その有用性はともかく,夢に描いたような野菜を実際に作ることができるようになった現代の技術は今後の農業の可能性を感じさせる。