グラスに水を注ぐ。グラスの水は言うまでもなく無色透明だ。しかし大量に水があるプールや海では水は青く見える。当然の事だが考えてみると不思議な現象だ。
水の入ったコップの絵を子供たちに描かせると多くの子供たちはコップの中の水を青色や水色で表現する。私たちは経験的に水が青い事を知っている。なぜ、水は青く見えるのだろうか?
それは、水の分子が赤外線を吸収しやすい事と関係している。赤外線とは波長が700nm~1mmまでのヒトの目では見えない領域の光で、水分子はこの領域の光を吸収して振動を起こす。太陽の光が温かく感じるのは水分子が赤外線を吸収して振動し、熱が発生するためだ。
水分子は赤外線を吸収すると同時に赤外線付近の可視光線(目に見える波長の領域にある光)である赤色の光もわずかに吸収するのだ。他の色の光は水中の浮遊物質や水底などで反射されて目に届く。ヒトの目には赤色と青色と緑色の光を感知する錐体細胞があり、このうち、赤色が吸収されると残りの知覚できる色は青色と緑色だけとなる。この青色と緑色の光を混ぜると水色になるのだ。
flickr photo shared by dullhunk under a Creative Commons ( BY ) license上の画像は光の三原色を表した図で,緑色と青色の光を混ぜると水色(シアン)になる事が分かる。
一方で、海が青く見える理由はもう少し説明が必要になる。上記の理由に加え、空の色の反射も関わっているのだ。夕日が浮かぶ海は,青ではなくオレンジ色に輝いて見える。これは海面で夕日の光が全反射を起こしたためで、昼間でも少なからず空の色が反射して海が青く見えているのだ。
また、深い海の場合は反射されずに海中に進んでいく光が多く、濃い青色に見える。逆に浅い海では海底で光が反射されるので淡い水色に見えるのだ。特にサンゴ礁のある海では海底の白い砂によって反射が起きやすく、より綺麗な水色に見えるのだ。